エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャーで初めて4番に入った。ジャイアンツ戦に「4番指名打者(DH)」でフル出場。通算123勝右腕のクエトに2三振を喫するなど4打数1安打だった。

 「先発投手で4番」は、長いメジャーの歴史の中でも非常にレアだ。米スタッツ社の記録によると、1シーズンで投手として3試合以上に先発し、打者として4番を打つのは、61年のドン・ラーセン(アスレチックス)以来57年ぶり。スポーツのデータを扱うエライアス・スポーツ・ビューローによると、同一シーズンに少なくとも1度でも投手として先発し、打者として4番を打ったのは64年のウィリー・スミス(エンゼルス)以来54年ぶりだ。

 ただし、80年にタイガースのマーク・フィドリッチ投手が投手として9試合に登板し、1試合に「4番DH」で入った記録が残っている。実はこれ、偵察メンバーとして名前が使われただけで打席に入っていないどころか、試合に同行さえしていなかった。これが問題視され、大リーグ機構は翌81年に「DHで先発した選手は、相手投手が交代しない限り少なくとも1度は打席に入らなければならない」とルールを変更。以後、記録上だけの「先発投手で4番」も2度と登場しなくなった。

 元祖二刀流のベーブ・ルースはどうかというと、レッドソックス5年目の18年に初めて4番に抜てきされた。同年に74試合に4番で先発、投手としては19試合に先発し、19年には119試合で4番、15試合で先発登板。だが「投手は9番を打つもの」という固定観念は昔からメジャーでも強く、いくら打撃が良くても投手として出場した試合では9番に入ることもあり「4番投手」は24試合だった。ちなみに「4番投手」はルースがメジャー史上唯一の経験者とされている。【水次祥子】