大谷は「メジャー最速王」-。エンゼルス大谷翔平投手(23)が、メジャー移籍後最速となる時速101マイル(162・5キロ)をマークした。昨季世界一のアストロズ戦に先発し、6回1死まで6安打4失点5四球7奪三振。今季3勝目こそお預けになったものの、メジャーの先発投手で今季最速を更新。今後は、試合ごとにスピードにも注目が集まりそうだ。

 初登板から4試合目、通算333球目にして、大谷が「最速王」になった。5回裏、2ランを浴び、1点差に迫られた後、さらに安打を許したことで、大谷はトップギアに上げた。2死後、4番レディックへの3球目。右腕をしならせ、プレートを力強く蹴って投げ込んだ速球は「101マイル」をたたき出した。先発投手としてはセベリーノ(ヤンキース)の「100・2マイル」を上回る今季最速の1球となった。6球目にも「101マイル」を計測。敵地に広がるどよめきが、衝撃の大きさを物語っていた。

 「いいシチュエーションで、点をあげたくなかったり、すばらしい打者が並んでいる中で、自分の持っているもの、それ以上のものを出したいという気持ちじゃないかなと…。まあ、良かったところは良かったんじゃないかと思います」

 予兆はあった。17日のレッドソックス戦では、右手中指にマメができた影響もあり、2回3失点で降板し、初黒星を喫した。だが、この日は指先を気にすることなく、けれん味なく腕を振った。3回裏までに「100マイル(161キロ)」が3球。5四球を与えたものの、昨季世界一の強打線相手に真っ向勝負を挑んだ。「出した数の多さよりも、いいところを攻めた結果かなと思ってます」。相手の出方を探るのではなく、抑えに行くスタイルこそ、大谷がメジャーに求めた醍醐味(だいごみ)だった。

 反省点も残った。2回に2死から1失点。5回には、四球後の初球を中堅左のスタンドまで運ばれた。いずれも失投ではなかった。メジャーに多いローボール打者に対し、カウントを整える過程で痛打された。「いろんな選択肢があった方がいいとは思うんですけど、強打者イコール内を攻めなきゃいけないとか、そういう考えは僕の中にない。僕も打者をやってて、人それぞれ違うので、その人に合った対策も必要かと思います」。

 この日の試合前、ア軍は打撃投手が通常より2メートル手前から投げてフリー打撃を行うなど、各球団の大谷対策は今後、さらに進む。球速だけで抑えられるほど、簡単な世界ではない。打者目線をも持ち合わせる二刀流の「最速王」が、その現実を自覚していないはずはない。【四竈衛】