米大リーグで歴代21位の通算3089安打を放ったマリナーズのイチロー外野手(44)が球団の特別アドバイザーに就任し、選手としては今季の残り試合に出場しないことが3日、複数の球団関係者の話で分かった。

 ベンチ入りの25人枠から外れるが、球団と生涯契約を結んでチームに同行し、練習しながら選手らをサポートする。来季以降は試合出場も可能という。米国時間3日(日本時間4日)に発表される。

 関係者によると、メジャーでも極めて異例の契約内容。本人は従来50歳まで現役続行を公言するなどプレーをする意欲は高く、来季以降にマリナーズの一員として故障者が出た場合などに選手としてプレーする可能性があるという。この契約を結ぶことで日本球界に戻る可能性はなくなった。

 マリナーズは4日(日本時間5日)から本拠地シアトルでエンゼルス3連戦を予定しているが、大谷翔平との対戦もなくなった。

 イチローの足跡を写真とともに振り返ります。


91年 高校時代

愛工大明電では投手で甲子園に2度出場

第63回センバツ高校野球 松商学園対愛工大名電 愛工大名電時代のイチロー(撮影は1991年3月29日)
第63回センバツ高校野球 松商学園対愛工大名電 愛工大名電時代のイチロー(撮影は1991年3月29日)

91年 オリックス入団

ドラフト4位指名を受け入団。登録名は本名の鈴木一朗

オリックスの入団会見に出席したイチロー(撮影は1991年12月)
オリックスの入団会見に出席したイチロー(撮影は1991年12月)

92年 プロ初安打

プロ1年目の7月12日にダイエー木村恵二から記録

ダイエー対オリックス イチローはダイエー先発・木村恵二からプロ初安打を放つ(撮影は1992年7月12日)
ダイエー対オリックス イチローはダイエー先発・木村恵二からプロ初安打を放つ(撮影は1992年7月12日)

92年 ジュニア球宴MVP

プロ1年目の7月17日、ジュニア球宴の8回に決勝本塁打を放ち賞金100万円をゲット

92年ジュニア球宴でMVPに輝いたオリックス鈴木一朗
92年ジュニア球宴でMVPに輝いたオリックス鈴木一朗

94年 史上初シーズン200安打到達

シーズン開幕直前に登録名を「イチロー」に変更。仰木監督に見いだされレギュラー定着

オリックス対ロッテ24回戦 オリックス・イチローが球界初の年間200本安打達成(撮影は1994年9月20日)
オリックス対ロッテ24回戦 オリックス・イチローが球界初の年間200本安打達成(撮影は1994年9月20日)

95年 「がんばろう神戸」でリーグV

震災からの復興目指す神戸のシンボルとして「がんばろう神戸」を合い言葉に悲願のリーグ制覇。首位打者、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率の5冠獲得

西武対オリックス23回戦 優勝を決めたオリックスナインは大喜びでマウンド上に集まる、後列中央はイチロー(撮影は1995年9月19日)
西武対オリックス23回戦 優勝を決めたオリックスナインは大喜びでマウンド上に集まる、後列中央はイチロー(撮影は1995年9月19日)

99年 1000安打&100号

4月20日の日本ハム戦で1000安打達成、7月6日の西武戦で松坂から節目100号を放つ

日本ハム対オリックス 9回表無死一塁、オリックス・イチローは右越えに3号2点本塁打を放ち、プロ通算1000本安打を達成(撮影は1999年4月20日)
日本ハム対オリックス 9回表無死一塁、オリックス・イチローは右越えに3号2点本塁打を放ち、プロ通算1000本安打を達成(撮影は1999年4月20日)
オリックス対西武15回戦 9回、イチロー(オリックス)は第4打席でプロ通算100号本塁打を放つ。投手は松坂大輔(撮影は1999年7月6日)
オリックス対西武15回戦 9回、イチロー(オリックス)は第4打席でプロ通算100号本塁打を放つ。投手は松坂大輔(撮影は1999年7月6日)

00年 マリナーズ移籍

7年連続首位打者など多くの記録をひっさげ、00年オフにポスティング制度でマリナーズ移籍。新人で首位打者、盗塁王とMVPに輝いた

マリナーズへ移籍の決まったイチローは京都市内で行われた会見でマリナーズのユニホームを着て笑顔を見せる。右はマリナーズのハワード・リンカーン最高経営責任者(撮影は2000年11月19日)
マリナーズへ移籍の決まったイチローは京都市内で行われた会見でマリナーズのユニホームを着て笑顔を見せる。右はマリナーズのハワード・リンカーン最高経営責任者(撮影は2000年11月19日)

04年 日米通算2000安打&大リーグ新記録の262安打

チームは12年ぶりの地区最下位に沈んだが、5月に日米通算2000安打を達成し、最終的にはシーズン最多安打記録を更新する262安打。今もなお破られていない

マリナーズ対タイガース 5回裏マリナーズ1死、日米通算2000安打となる中前打を放つイチロー(撮影は2004年5月21日)
マリナーズ対タイガース 5回裏マリナーズ1死、日米通算2000安打となる中前打を放つイチロー(撮影は2004年5月21日)
マリナーズ対レンジャーズ 8回裏マリナーズ無死、イチローはこの日2本目の中前安打を放ち今季通算安打数を262としてシーズンを終えた(撮影は2004年10月3日)
マリナーズ対レンジャーズ 8回裏マリナーズ無死、イチローはこの日2本目の中前安打を放ち今季通算安打数を262としてシーズンを終えた(撮影は2004年10月3日)

05年 秘技!ワンバン球打ち

05年7月31日、マリナーズ対インディアンス 4回裏マリナーズ1死、ワンバウンドのボールを打ち二飛に倒れたイチロー
05年7月31日、マリナーズ対インディアンス 4回裏マリナーズ1死、ワンバウンドのボールを打ち二飛に倒れたイチロー

07年 ランニング弾で球宴MVP

07年7月12日、マリナーズ対タイガース 試合前、オールスターのMVPに輝いたイチローは観客のスタンディングオベーションに帽子を上げて応える
07年7月12日、マリナーズ対タイガース 試合前、オールスターのMVPに輝いたイチローは観客のスタンディングオベーションに帽子を上げて応える

08年 日米通算3000安打

7月29日のレンジャーズ戦で達成

レンジャーズ対マリナーズ 1回表マリナーズ無死、日米通算3000本の安打を放つイチロー(撮影は09年7月29日) 
レンジャーズ対マリナーズ 1回表マリナーズ無死、日米通算3000本の安打を放つイチロー(撮影は09年7月29日) 

09年 WBC決勝戦で決勝打

3月23日の韓国との決勝戦で延長10回、日本中を歓喜させた中前決勝打

09年3月のWBC、韓国との決勝戦で延長10回、決勝打を放つイチロー
09年3月のWBC、韓国との決勝戦で延長10回、決勝打を放つイチロー

09年 日米通算3278安打(メジャー通算2000安打)

9月6日のアスレチックス戦で達成

アスレチックス対マリナーズ 1回表マリナーズ無死、右翼線二塁打を放ち、米通算2000本安打を達成するマリナーズのイチロー(撮影は2009年9月6日) 
アスレチックス対マリナーズ 1回表マリナーズ無死、右翼線二塁打を放ち、米通算2000本安打を達成するマリナーズのイチロー(撮影は2009年9月6日) 

10年 10年連続200安打&ゴールドグラブ賞

10年9月23日、ブルージェイズ対マリナーズ 5回表マリナーズ1死一塁、200安打達成したイチロー
10年9月23日、ブルージェイズ対マリナーズ 5回表マリナーズ1死一塁、200安打達成したイチロー
07年9月1日、ブルージェイズ対マリナーズ 8回裏ブルージェイズ無死一、二塁、グロースの中前打でイチローが懸命に本塁に返球する
07年9月1日、ブルージェイズ対マリナーズ 8回裏ブルージェイズ無死一、二塁、グロースの中前打でイチローが懸命に本塁に返球する

12年 ヤンキース移籍

シーズン途中の7月23日に移籍。背番号は31

ヤンキース対オリオールズ 7回裏ヤンキース2死、移籍1号となる右越えソロ本塁打を放ちメジャー通算100号としたイチロー(撮影は2012年7月30日)
ヤンキース対オリオールズ 7回裏ヤンキース2死、移籍1号となる右越えソロ本塁打を放ちメジャー通算100号としたイチロー(撮影は2012年7月30日)

13年 日米通算4000安打

8月21日のブルージェイズ戦で達成

ヤンキース対ブルージェイズ 1回、日米通算4000本安打を達成したイチローは、ベンチを飛び出し祝福に向かうナインに照れ笑いを見せる(撮影は2013年8月21日)
ヤンキース対ブルージェイズ 1回、日米通算4000本安打を達成したイチローは、ベンチを飛び出し祝福に向かうナインに照れ笑いを見せる(撮影は2013年8月21日)

15年 マーリンズ移籍

14年オフにFAとなり、15年1月にマーリンズと契約。背番号は51

都内でのマーリンズ入団会見を終えユニホームをまとったイチロー(中央)。左はデービッド・サムソン球団社長、右はマイケル・ヒル編成本部長(撮影は2015年1月29日)
都内でのマーリンズ入団会見を終えユニホームをまとったイチロー(中央)。左はデービッド・サムソン球団社長、右はマイケル・ヒル編成本部長(撮影は2015年1月29日)

17年 代打最多安打記録に1本届かず

17年10月、マーリンズ―ブレーブス戦の6回、代打で出場し左邪飛に倒れるイチロー。代打最多安打記録に1本届かずシーズンを終えた
17年10月、マーリンズ―ブレーブス戦の6回、代打で出場し左邪飛に倒れるイチロー。代打最多安打記録に1本届かずシーズンを終えた

18年 マリナーズ復帰

17年11月にマーリンズ退団発表。18年に入りキャンプインを迎えても所属球団が決まらない状態が続いたが、3月5日にマリナーズ復帰が決まった

マリナーズ入団会見 イチローは入団会見で目を潤ませ心境を話す(撮影は2018年3月7日)
マリナーズ入団会見 イチローは入団会見で目を潤ませ心境を話す(撮影は2018年3月7日)


プロフィル

◆イチロー(本名・鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年(昭48)10月22日、愛知県生まれ。愛工大名電高では投手で甲子園に2度出場。91年ドラフト4位でオリックス入団。94年に史上初めてシーズン200安打に到達(210安打)。00年まで7年連続首位打者。00年オフにポスティング制度でマリナーズ移籍。新人で首位打者、盗塁王とMVPに輝いた。04年に大リーグ新記録の262安打を放ち、2度目の首位打者。大リーグでは01~10年に10年連続で200安打、打率3割、ゴールドグラブ賞、球宴出場。07年オールスターでは史上初のランニング本塁打を放ちMVP。12年7月にマイナー2選手とのトレードでヤンキース移籍。15年1月にマーリンズ移籍。16年6月に日米通算でメジャー記録の4256安打を上回り、8月には大リーグ通算3千安打に到達。18年に古巣マリナーズに復帰した。180センチ、77キロ。右投げ左打ち。家族は弓子夫人。