エンゼルス大谷翔平投手(24)が1回1死、右腕ラミレスの速球を中堅へ運ぶソロ本塁打を放ち、日本勢では松井秀喜(元ヤンキースなど)以来2人目の20号に到達した。自身のメジャー1年目の日本選手最多本塁打記録を更新した。マリナーズ戦では初めての本塁打となり、憧れのイチロー球団会長付特別補佐(44)の前で歴史を刻んだ。

イチローが大谷を「本物」と認めた。18試合目となる直接対決で、大谷がマリナーズ戦初アーチ。ベンチに入れない立場だが、ダッグアウト裏のモニターで、大谷の1発をしっかりと見届けた。

「今日の20本目がどうかということは置いといて、初めてのホームランバッターが日本人として来たな、という感じはします。ずっとしてましたけど」

イチローの言う本塁打打者は、あくまでも「メジャー規格」。引っ張るだけでなく、中堅から左中間へ飛距離が伸びる大谷の打球こそ、本物の証しだった。

「それは誰が見てもそうでしょう。それは僕が説明するまでもない」

01年のメジャー移籍以来、バリー・ボンズ、ケン・グリフィーJr、A・ロドリゲスら長距離砲と同じグラウンドに立ち続けてきた。そんなイチローの目にも、大谷の潜在能力の高さは日本人として別格に映った。04年、ヤンキース松井が31本塁打を放ったものの、大谷の量産ペースは年間に換算すると40本を超える。

「今日だってちょっと詰まりだと思うよ。あれがセンターへ行くというのは、ホームランバッターでしょうね、初めての」

「安打製造機」といわれる一方、フリー打撃で柵越えを連発するイチローは、技で遠くへ飛ばす。だが、大谷は詰まっても飛ばす。大谷の才能を語る上で、イチローの「解説」以上のものはない。【四竈衛】