【ラスベガス(米ネバダ州)11日(日本時間12日)=四竈衛、斎藤庸裕】ポスティングでメジャー移籍を目指す菊池雄星投手(27)の争奪戦が、一気にヒートアップしてきた。猛アタックをかけるマリナーズは、オプトアウト(契約見直し条項)付きの6年総額6000万ドル(約66億円)を用意。一方、ジャイアンツは、西海岸の環境を利点に、近日中にも本格交渉へ臨む見込みとなった。

ウインターミーティングの会場内。カジノの騒がしさから少し離れたシックな雰囲気のロビーで、マリナーズ・ディポトGMとジャイアンツ・ザイディ編成本部長がばったり出くわした。互いに笑顔で握手を交わし、数分間話し込んだ。腹を探り合ったわけではないだろうが、両球団にとって今オフ最大のターゲットこそ、菊池だった。直後、ディポトGMは満面の笑みを浮かべ言った。

「We do like Kikuchi」(我々は菊池のことがとても好きだ)

強調の意味を持つ「do」を付けて表現するほど、菊池へのラブコールは真っすぐだった。

代理人のスコット・ボラス氏とは頻繁にコンタクトを取っており、すでに本格交渉はスタート。今月中旬以降に菊池が渡米し、本拠地シアトルの施設見学、同席交渉をするまで細部の折衝を繰り返す予定だ。関係者の話を総合すると、マリナーズは最低6年、総額6000万ドルの大型契約を用意しており、3年目終了後に契約を見直すオプトアウト、さらに複数球団へのトレード拒否権などを盛り込む契約を提示する見込みだ。

同会場で恒例会見に臨んだサービス監督も「とても才能のある選手。私としても獲得したい」と明言。チーム一丸となって獲得へ動く姿勢を明かした。来年1月2日(同3日)の交渉期限まで残り3週間。菊池争奪戦は、マリナーズ主導で進みそうな流れになってきた。