いざ、メジャーへ! ポスティングシステムで大リーグ移籍を目指す西武菊池雄星投手(27)が16日、成田空港から米国へ出発した。代理人スコット・ボラス氏の事務所のあるロサンゼルスでトレーニングを続けながら、移籍先の有力候補に挙げられるマリナーズ、ジャイアンツなど複数球団と直接交渉に臨む見込みだ。高校時代からの夢の実現へ、左腕が海を渡った。

菊池は凜(りん)とした表情で、素直な気持ちを紡いだ。「この渡米が1つのきっかけになると思う。ライオンズで9年間プレーして認めてもらったこともある。やっとの思いで、というのもあります」。目の前に来た夢の舞台。期待を胸に「全てのプロセスを楽しみながら進んで行けたら」と前だけを見据えた。

花巻東時代から、憧れ続けてきた。努力を重ね、西武のエースとなり、挑戦権を得た。フィジカル、技術、メンタル面の成長だけではない。プレーを第1優先としながらも、ここ数年は海を渡れる日を信じ、語学の準備も積んできた。

今季は遠征先や登板翌日のナイター日であっても、朝から英語の勉強に励んだ。「個人トレーナーのようですね」という英語講師からの課題に取り組み定期的に提出。「むっちゃ大変だけど楽しいです」と移動中もテキストに目を通す姿があった。外国人選手とは通訳抜きで会話に困らないレベルにあるが、文法を勉強するなど基礎から身につけようと努力した。ただコミュニケーションが取れればいい、という考えではなく、正しく英語を理解し、話そうという姿勢の表れだった。

獲得意思を示した球団との交渉には「必要な時にはそういうこともあり得ると思います」と同席する可能性も示唆した。相手の意欲を直接理解出来れば、話し合いをよりスムーズに進め、自分の意見も積極的に伝えることもできる。全30球団OKの意向で「細かい家族のことだったりとか、スタッフのことだったり」と、生活環境なども考慮して決断する考えだ。

シーズン終了後はウエートトレに重点を置いてきたが、渡米直後からキャッチボールを再開する。「とにかく自分のベストなパフォーマンスを出せるように、そういうところをこだわっていきたい」。交渉期限は米東部時間の来年1月2日午後5時(日本時間1月3日午前7時)。雄星がいよいよメジャーの扉の前に立った。【久永壮真】