西武からポスティングシステムで米大リーグ移籍を目指す菊池雄星投手(27)のマリナーズ入りが1日(米国時間12月31日)、基本合意に達した。

最大7年の総額1億ドル(約110億円)超で条件面は合意に達し、この日までに完了したメディカルチェックに問題がなければ、近日中に正式契約となる見込みだ。

11年前に抱いた夢を、ついに実現させた。花巻東1年の冬。野球部の佐々木監督に呼ばれ、将来の目標設定を行った。

「目指すなら、高卒からメジャーに行きたい」

そう定めた。力をつけ、結果を出すに従い、注目度はうなぎ上り。メジャーのスカウトも訪れるようになった。3年秋、09年のドラフト前には日米争奪戦の様相を呈した。目標設定どおりに進む可能性もあったが、最終的には日本球界で認められてから、海を渡る道を選んだ。

プロに入ってからは、決して順風満帆ではなかった。1年目はコーチとの人間関係に悩み、左肩の故障にも見舞われた。初の2ケタ勝利(12勝)&規定投球回クリアは、7年目の16年になってから。その年のオフ、球団に思いをぶつけた。「メジャーに行きたい」と。海外FA権取得は、まだまだ先。あくまで、高校時代の夢を再び口にしたという段階だった。

一気に現実味を帯びたのは、18年シーズンに入ってからだ。前年(17年)に16勝で最多勝。球界トップ左腕に上り詰め、3年連続開幕投手で1年の幕を開けた。投球フォームが定まらず、肩の不調から2軍再調整も経験。苦労はしたが、優勝へ突き進むチームでエースとして引っ張った。登板試合はメジャーのスカウトがこぞって訪れた。8月には、球団がポスティングシステムによる移籍を認める方針であることが判明した。

CSファイナルステージに敗退した10月21日、居郷球団社長が「彼の夢なので、球団としても快く応援してあげたいなという気持ちです」と公に発言。菊池自身も、メジャー挑戦へ具体的に動きだした。大物代理人スコット・ボラス氏と契約。11月10日には、トレーニングを兼ねて渡米した。米国でメディカルチェックを受け、準備を進めた。

西武側は菊池サイドの意向を最大限、尊重した。12月3日にポスティングシステムの申請手続きを日本野球機構(NPB)に行い、NPBから大リーグ機構(MLB)への通知も順調に完了。30日間の交渉期間がスタートし、同16日に菊池も米国へ渡った。

現地でトレーニングを行いながら正式オファーを待ち、ボラス氏とミーティングを重ね断を下した。渡米前「自分のベストなパフォーマンスを出せるように、そういうところをこだわっていきたい」と話していた左腕。交渉期限(日本時間1月3日午前7時)が迫る中、合意に至った。