【メサ(米アリゾナ州)29日(日本時間3月1日)=四竈衛】ダル、開幕投手当確-。カブスのダルビッシュ有投手(33)が、今オープン戦初の先発マウンドに上がり、2回2安打1失点無四球3奪三振。最速98マイル(約157・7キロ)をマークするなど、順調な仕上がりを見せた。首脳陣は26日(同27日)に敵地で行われるブルワーズとの開幕戦を任せる方針。レンジャーズ時代の17年以来、メジャー9年目で2度目の大役が決定的となった。

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球威、キレとも試運転の域を超えていた。1回、先頭アルシアに初球の速球を左中間席へ運ばれたのも、ダルビッシュにすれば想定内だった。「シーズン中だったらカッターとかでいくんだろうけど…」。約5カ月ぶりの実戦。失点を引きずる理由もない。1死後、3番ガルシアを最速98マイルの快速球で空振り三振に打ち取ると、球場がどよめいた。4番モリソンを132キロのナックルカーブで連続空振り三振で仕留めると、今季初の「ユー・コール」が響いた。

昨季の同時期は、もがき苦しんでいた。フォームが定まらず、好不調の波を制御できなかった。「ストライクを投げようと思っても投げられない技術レベルだった」。だが、昨季中盤、感覚と一致するフォームをつかみ、制球力が劇的にアップ。7月以降、142打者連続無四球を記録するなど、新たな境地を切り開いた。「(昨年の同時期とは)全然違う人かなと思います。今は自分の技術に自信があるから」と話す表情に、不安材料は見えない。

現時点で正式に発表されていないものの、カ軍首脳陣はダルビッシュを開幕投手に指名する方針を固めたことも分かった。今オープン戦の先発ローテをダルビッシュ、レスター、ヘンドリックス、キンタナ、チャットウッドの順番で回すことが決定。過去数年、カ軍は先発陣の登板日を維持しており、今後は中4~5日の間隔で開幕まで調整していく見込みだ。

まだ1試合だけとはいえ、ダルビッシュも好感触を口にする。空振り9のうち、フォーシームで奪ったのが6(カットボール、ナックルカーブ、スライダー各1)。「(速球は)ボールの下を振っているから、多分伸びているだろうなと思います。スピードだけじゃなく、投げていて心強い部分だと思います」。基本の速球が走れば、9~10種類とも言われる変化球は、いつでもOK。米地元紙が今季のサイ・ヤング賞の有力候補に挙げるほど、充実ぶりは半端ではない。

◆カブスの先発ローテーション予想 開幕投手が確実視されるダルビッシュから、レスター、ヘンドリックス、キンタナ、チャットウッドの5人がほぼ確定。右腕3人、左腕2人でもあり、「右→左→右→左→右」の順番で理想的なローテで、実績、経験ともリーグ屈指の先発陣となりそうだ。