二刀流劇場、満載-。エンゼルス大谷翔平投手(26)が11日(日本時間12日)、ダイヤモンドバックス戦に「2番投手」で出場。打者では4打数2安打1打点と打線をけん引し、投手では5回5安打2失点。3回の第2打席で右膝に自打球を当て、痛みを抱えながら右中間へ適時二塁打を放ち、その裏の投球ではこの日最速の99・6マイル(約160キロ)をマークした。ボーク2つと振り逃げで失点する不運もあったが、降板後の6回からは右翼を守り、7回には勝ち越し点につなげる右越え二塁打で笑顔あり。3勝目はならなかったが、二刀流ならではのプレーで躍動した。

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大谷のフルスイングに、観客はどよめき、同僚のアップトンは笑った。自打球を当て、痛みに耐えて打席に戻る姿に敵地のファンは拍手を送った。開幕前、USAトゥデー紙の名物記者ボブ・ナイチンゲール氏が言っていた。「二刀流は非常に珍しいこと。ファンは皆、見たいと思っていると思う」。過去3年間で故障を重ね、二刀流は本当に可能なのか-。そんな疑問が米球界にも渦巻いた。だが「大谷を見たい」。特に今季は本拠地、敵地にかかわらず、二刀流を応援する空気がある。

この日は、大谷の一挙手一投足でいろいろな事が起きた。イニングを終え、マウンドからベンチに戻る際、落ちていたバットを拾い、バットボーイに手渡すシーンもあった。紳士的な行動も度々、注目される。あと1登板で1年目の10先発に並ぶ。「1回1回、1イニング1イニング、その積み重ねで最終的にシーズンが終わればいい」。初のシーズン完走へ。二刀流を見たいと願うファンの気持ちも、大谷の後押しになっていると感じる。【MLB担当=斎藤庸裕】