【シカゴ(米イリノイ州)2日(日本時間3日)=四竈衛】エンゼルス大谷翔平投手(27)のフラストレーションがたまっている。

右股関節の張りのため、ホワイトソックス戦で今季2度目のスタメン落ち。3点を追う8回2死一塁で代打で登場し、二ゴロに倒れると、ベンチへ戻ってヘルメットを投げつける一幕もあった。珍しい怒りの表情が、苦闘の開幕1カ月を物語っていた。

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大谷が思わず、物に当たってしまった。凡退後にベンチへ戻ると、ヘルメットと肘当てを思い切り、投げつけた。衝撃音がベンチ内に響き渡る。珍しい行動。激動の二刀流の合間に見せる笑顔は、多国籍な選手へのスマイルと変わっていた。だがこの日、一瞬のぞかせた怒りに、エ軍ベンチも静まり返った。

右股関節の張りのため、スタメンから外れた。前日1日(日本時間2日)のホワイトソックス戦で投ゴロを放ち、一塁へ向かう時に代名詞の全力疾走を止めた。一夜明け、代打で出場。3点を追う8回2死一塁で二ゴロに倒れた。ゆっくりとした足取りで一塁へ向かった。

凡打の結果に対してなのか、思うように体を動かせないもどかしさなのか、それとも痛みが増したのか。首をひねりながら、険しい表情でダッグアウトで衝動的な行動を取った。理由は分からない。だが昨季MVPから、さらなる高みを目指す今季の開幕スタートは順風では決してない。

開幕から30打席ノーアーチで、ホワイトソックスとの今シリーズで放った4号まで打球になかなか角度がつかなかった。投手も1戦1戦、好不調の波が激しかった。イライラが蓄積されていても不思議ではない。

試合前はグラウンドで軽いキャッチボールを行うなど、一定の回復をしていることをうかがわせていた。フロスタッド・トレーナーは「明らかに張りがあった。彼はプレーすることを望んでいたが、もう1日休んでどう進展するかを見たい。ただ、先発出場ではなくてもプレーは可能だ」と話し、精密検査などの予定はないと説明。代打で出場する可能性は想定内だった。

3日からの遠征地ボストンは気温10度前後と肌寒く、降水確率も高いため、下半身に不安のある大谷にとってベストのコンディションとは言えない。試合後、マドン監督は3日以降のスタメン復帰について「今日も出たがっていたが、明日、トレーナーと話し合って決める」と、あくまでも慎重な姿勢に終始。当初はレッドソックス3連戦で見込まれていた先発も「投げてくれることを願う」と話し、不透明な状況。大谷の心中同様にモヤモヤが続きそうだ。

<大谷の喜怒哀楽>

◆喜び 21年7月2日のオリオールズ戦。9回裏のサヨナラのチャンスで二塁走者の大谷が4番ウォルシュの右前打で生還。スライディング後、寝転がったまま笑顔で両腕を突き上げガッツポーズ。

◆怒り 21年4月5日のアストロズ戦。右腕スミスの投球を右太もも付近に受け、一塁に向かいながらスミスをにらみつけた。一度視線を外してバットから手を放したが、すぐにまたじろりと目線をやった。

◆悲しみ メジャー1年目の18年7月に女房役のマルドナド捕手がアストロズにトレード移籍。クラブハウスで抱擁したことを明かし「すごい残念ですけど、頑張って欲しい」。

◆楽しい 21年のオールスターに初選出され、史上初の投打で先発。前日のホームランダービーでも終始笑顔で、2日間を終え「とにかく楽しかったという感じですね」。

 

【連続写真で】大谷翔平が怒りのヘルメット投げつけ、衝撃音走りベンチ静まりかえる