<オープン戦:ブルワーズ7-5ロイヤルズ>◇13日(日本時間14日)◇アリゾナ州メリーベール

 東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市出身のブルワーズ斎藤隆投手(41)が、震災発生後初めてオープン戦に出場した。犠牲となった人々への黙とうがささげられた後、いまだに連絡が取れない親族や友人らへの思いを胸に、ロイヤルズ戦のマウンドに立った。

 帰郷も視野に入れていたが、復興に向けて動き始めた両親から電話で「隆、大丈夫だ」と何度も言われたという。斎藤は「キャンプを続けようと決断した。それを一番強く願うのが仙台にいる家族だから」と語気を強めた。

 それでも、めいの1人は消息が分からず、ともに甲子園出場を果たした宮城・東北高の同級生にも連絡の取れないメンバーがいるという。心労で睡眠や調整が十分ではなく、この日は1回を投げて2点を失った。14日から全体練習に復帰し、3月31日の開幕へ万全を期す覚悟だ。

 観客席では、数週間前に飲食店で居合わせ、親切にされたという日本人留学生が「僕らにできることはこれぐらい」と「東北

 ガンバレ」と記した手製の応援ボードを掲げた。斎藤は「東北という文字が心に染みた」と言って頭を下げた。