マリナーズ・イチロー外野手(38)18日の一問一答

 -キャンプ初日のミーティング。監督の雰囲気は

 イチロー

 雰囲気ですか?

 あのー、2年目でよく知ってる、1年一緒にやった選手たちはみんなよく知ってるので、どういう人たちに向けて発してるのかっていうのが僕らには見えるので、そこは去年とは違うなぁ、と思いましたね。ああ、また今年も、テクニックがありますから、人に対するものがそれぞれあるじゃないですか、それを色濃くもってるなぁっという印象でしたね。

 -去年感じたエネルギーは変わらずですか

 イチロー

 そりゃそうですよ。それが誰に向けているのかっていうのはなかなか最初はねぇ。でもこんな話使いづらいから、次に行ってもらえます。

 -今年の顔ぶれ。新戦力で入ってきたけど、実は知っている人が多い。その部分で感じることは

 イチロー

 答えづらいですよね。まあ、ムネだもんね、一番(新しい顔)はね。

 -彼が入ってすでに自主トレの段階からかなり大きく雰囲気が変わってる気がするんですけど、実際に隣にいて

 イチロー

 あいつ、どこでも生きていけるね。僕はぜんぜん違うタイプですけど、あいつはもうどこでも生きていけるわ。

 -日本での実績を捨ててこういう状況に飛び込んできた。それに関して思うことは

 イチロー

 それは、以前言わなかったですか?

 -川崎選手の存在とは

 イチロー

 僕にとって?

 -癒やしというわけではないですけど

 イチロー

 あいつが、僕が癒やしだって言ったって聞くんですけど、それはどうかなと思いましたけどね。その言い方はないだろ、と思ったんですけどね。癒やしかよ、俺はお前のっていう感じだけど。僕にとっては癒やしではぜんぜんないですね。あのー、同じ野手で価値観を共有できる存在で、強烈に思いを伝えられていて、価値観を共有できるけども、なかなか大人になって、大人の年齢になってそういう思いというのをぶちまけられることってないんですよね、なかなか。しかも勝負の世界でやっていると。そういうことを普通は計算しますから、人ってその年齢になると。でも、そういうこと一切なく表現する人間ですから。そこが、ま、稀有な人間であるというふうに思ってるんですけど、両思いという感じもおかしいなぁという、片思いじゃないけど。

 -グリフィー選手がいた時のリラックスした感じが見えたが

 イチロー

 ジュニアの時とはまた違いますけど、でも、気持ちに与える影響というのは大きいですよね、今日だけでもね。

 -笑える

 イチロー

 あいつ、だって見てるだけでオモロイですからね。

 -外野で話をしてましたが、特別なアドバイスは。共有したものは

 イチロー

 僕、コーチじゃないですから、アドバイスなんかないですよ。

 -共有したものは

 イチロー

 あるとしたら、空気でしょうね、なにか具体的なことなんて、たいしたことではないですよ。ただ、ここにいる事実と出ている空気というのをそこは会話ではまったくしてないですけど、それを共有しているという認識を僕はしていましたけど。

 -このTシャツのメッセージは

 イチロー

 メッセージって表現するものじゃないから。これセンスだからね。

 -マリナーズで張本さんのように高くジャンプさせられるチームメートのできごとをなにか想像できますか

 イチロー

 何言ってるかさっぱりわからない(爆笑)。これのメーンは張本さんであることは間違いないです。すてきな写真ですよね。

 -特注ですか

 イチロー

 特注ですよね。こんなの売ってるわけないですから。しかもまあまあおしゃれなTシャツですからね、これ。これ作ったところもびっくりしてますよ。だって、こんなの出してないんだもん。でも、どう見てもウチのだってなるから、見る人は。気づいてました?

 そもそも。今言われて気づいてなかったですか?

 -打撃に関してだが、毎年、シーズン中も変えることはあると思うんですが、今年はこれだけは、ということが今日の打撃練習の中でも、たとえばステップであったり、スイングの仕方であったり、出てたと思うんですが、何かひとつ教えていただければ

 イチロー

 いや、スイングの仕方なんて変えられないですからね、そもそも。考え方としては、あのー、ある動きを省いている、ということですね。

 -省くことによって、ベターな結果につながるということですね

 イチロー

 ま、そうでないとしないでしょ。

 -それはパワーだとか、簡単なことではない?

 イチロー

 ここでお伝えすることではないですね。

 -見ている限り、以前よりも力を伝えたい意識があるように見えるが

 イチロー

 と思うならそれでかまわないですよ。

 -だからこそ、これから入ってくる紅白戦やオープン戦、実戦に入ることへの楽しみという表現は違うと思うのですが、わくわくする気持ちというのはあるものか

 イチロー

 ゲームではどうなるか分からない、とは思ってますけどね。練習の形とはどうしても変わるので、走る行為が入りますからね。それは分からないです。現時点では、ということですよね。

 -試行錯誤になっていく

 イチロー

 練習でできることはもう決まっているので、それは毎年のことですけど、現段階ではここまでしかできないので、仕方がないな、と。

 -そういう意味では1年目のように開幕までのもって行き方が、どうなるんだろうという思いがあるものですか

 イチロー

 ただ、動きが省かれてるだけなので、打撃の考え方としてはそんなに変わらないことですから。

 -それは去年のシーズンが終わってからイメージしてきたものか

 イチロー

 終わってからですよね。シーズン中はしてないですから。終わってからです。

 -シーズンが終わって近い時期だったのか

 イチロー

 どこまでが近くて、どこまでが遠いのかよくわからないですけど、ごく最近ではないですね。昔、無駄をすることも、と…。それは、生き方ね

 -無駄になるかもしれないことがあっても、打撃に関しても最終的にだめだと分かるだけでもいい、ということですか

 イチロー

 それ、生き方の話だから、ちょっとずれてるかな、それは。

 -今年のシーズンに向けて強く思っていることは。チーム優勝につながるところか

 イチロー

 それは言わなきゃいけないことですかね。チームの優勝ですって言って欲しい?

 -1日目を終えて一番思うところという意味で

 イチロー

 う~ん、そうねぇ。何かをやろうとする時は、不退転の決意でいきたいなぁと、思いますけどね。ええ。これどうでしょう?

 今日のキーワード。どうですか?

 それ使えそうじゃないですか。

 -使う使わないは考えなくてもいいのだが。本当に思っていることを

 イチロー

 どうしてもね、そっちに行きがちなんですよ僕。

 -調整を重ねる打撃だが日本の開幕2試合に焦点を当てる考えはあるのか

 イチロー

 それは当て方が分からないですからねぇ。どうしたらそこに当たっていくのかっていうのは経験がないことですから、分からないです。そうでありたいですけどね。それは計算通りにはなかなかいかないですから。

 -去年の最終戦から昨日までの間、世の中がオフと思っている間、野球に対してどういうふうに突き動かされて過ごしてきたと思うか

 イチロー

 自分がやりたいようにやるということですかねぇ。まぁそれがベースにあって。自分のセンスを信じるっということですかね。

 -このオフだからとりわけ、という部分はあったのか

 イチロー

 いろんな種類がありますね。毎年違うし。

 -日本人選手が3人になる。久しぶりだが

 イチロー

 3人で開幕にグランドに立ちたいと思っています、現時点では。

 -彼らの姿はメジャー1年目の自分を思い出させてくれることはあるか

 イチロー

 思い出すことはあります。

 -それが自分にとって何かプラスに働くということは

 イチロー

 現時点では分からないですね。