マリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手(26)が、15日(日本時間16日)のレイズ戦で史上23人目の完全試合を達成した。

 “キング”と呼ばれ、マウンド上で自信に満ちあふれる投球を見せるヘルナンデスは、負けても絶対に沈んだ顔は見せない。勝てば味方野手の活躍を勝因に挙げ、負ければ自分の失投を敗因にする。19歳でメジャーに昇格した05年から今日まで、試合後の質疑応答でヘルナンデスの答えが変わることはない。達成直後の会見では「この人のリードに従っただけ」と、隣のジェイソ捕手の好リードを何度も口にした。

 10年には34試合に登板したが、味方打線の平均得点はリーグ最低の3・10点。この状況でサイ・ヤング賞を獲得した。不満を言わず自分の力を信じて黙々と投げる。

 チームは首位レンジャーズと13・5ゲーム差で、3年連続の最下位が近づいている。イチローが去った後、地元記者が聞いた。「他に移る気は?」。答えは「シアトルにいたい」。育ててくれた恩義は忘れない。今の時代にあって、おとこ気を貫く希少な若き投手だ。(木崎英夫通信員)