引退表明した松井秀喜外野手(38)の父昌雄さん(70)は28日、「けがに泣かされたことは無念と思っているだろうが、やり尽くした選手生活だったと思う」とねぎらい「たくさんのファンの方に支えられ、私も感謝している」と話した。

 2007年からグラブを作ってきたミズノの職人、岸本耕作さん(55)も「現役を続けてほしかった。寂しい」と残念そうに話した。

 シーズン開幕前の今年初め、用具全般について松井と打ち合わせた。所属チームが変わるのを機にグラブの色を緑から黒に変更したという。

 岸本さんは職人としての最高位「マイスター」の称号を持つ。「お互いに固い信頼関係があった」と岸本さん。「捕球時にボールが遊ぶ」などとの細かい注文に応え、微調整を繰り返してきた。

 一方で松井はことあるごとに「エラーをするのは自分のせい」と話し、決してグラブのせいにはしなかったという。「気さくに話をしてくれた。松井選手の道具に関われたことは光栄だ」。岸本さんは感謝の言葉を口にした。