新ポスティング制度では、選手に複数球団から移籍先を選択できる可能性が与えられたが、日本球団には手にする金額に2000万ドル(約20億円)の上限が設けられた。選手にプラス要素が加わり、球団側にはデメリットが増えた。

 旧制度では交渉が最高入札額を提示した1球団に限られ、選手に選ぶ権利はなかった。2010年オフの岩隈久志投手や11年オフの中島裕之内野手のように破談となった例もあった。新制度は日本の所属球団が設定した金額に応じた球団すべてと交渉ができ、多くの球団が名乗りを上げれば、フリーエージェント(FA)に近い立場となる。

 一方で日本球団は巨額な収入を得る機会を失った。06年オフに松坂大輔投手は約5111万ドル(約60億円)でレッドソックス、11年オフはダルビッシュ有投手が約5170万ドル(約40億円)でレンジャーズに落札された。田中将大投手なら落札額が7500万ドル(75億円)に上るともいわれただけに、楽天は最後まで合意に反対した。

 日本球団には選手の米市場での適正価値を把握する能力も求められる。設定額を高くしすぎると獲得を見送られ、低くすれば自ら利益を減らすことになる。米球団の応札を待っていた旧制度のように、受け身のままでは対応できない。(金額は推定、契約時のレートで換算)