<タイガース6-5ヤンキース>◇9日(日本時間10日)◇コメリカパーク

 【デトロイト(米ミシガン州)9日(日本時間10日)=千葉修宏】ヤンキース井川慶投手(28)が、わずか1試合で失格の烙印(らくいん)を押された。今季メジャーに初昇格しタイガース戦に初先発したが、4回途中で11安打を浴び6失点KOと散々。ジラルディ監督は井川を酷評し、試合前は次回登板が決定していたが、試合後には流動的となった。次回チャンスがあっても、首脳陣を納得させる内容でなければ放出される可能性も出てくる。

 井川の今季初先発は最悪の結果だった。1回、先頭ロドリゲスに左中間二塁打されると、2番ポランコの投ゴロが左腰を痛打。なんとか拾って一塁でアウトにしたものの、続くギーエンに簡単に犠飛を打たれ先制を許した。

 その後も立ち直れなかった。チェンジアップ、スライダーがことごとく高めに抜け、真ん中に集まった直球を狙い打ちされる悪循環の投球だった。3回には5安打で3失点。4回に4連打を浴びたところで、ジラルディ監督が交代を告げた。全11安打で8安打が直球を狙い打ちされたもの。投じた64球中、空振りが2度しか奪えず、緩急が使えなかった。

 この試合前、中4日で次回14日の先発を明言していたジラルディ監督も変更検討を示唆。「彼は96~97マイル(約155~156キロ)を投げる投手じゃない。(速球、スライダー、チェンジアップ)3種類すべての球種を操らなければね。少なくとも2球種は。それができなければ、このレベルで投げるのは難しい」と評価は厳しかった。

 次回チャンスがあっても結果を出さなければ、マイナー降格にとどまらない可能性もある。ヤ軍は昨年8月には井川を交換要員にパドレスとトレード交渉した経緯がある。金額、交換要員など条件面で折り合わなかったが、もう実力的には見切りをつけているフシがある。キャッシュマンGMは昨シーズン後、同投手放出を断念した際に「貴重な左腕として活躍してもらわなければ困る」と期待をかけた。だが、この日の結果に加え、首脳陣との意思疎通のなさから放出を再考せざる得ない状況だ。

 一番の問題は技術的な修正すべき点について、井川と首脳陣で考え方に違いがあることだ。ジラルディ監督が「すべての球種で、いつでもストライクを取れないと」と試合後に指摘したが、井川は「もうちょっと大胆にストライクゾーンを広く、フォアボールを怖がらずに投げていきたい」と課題を挙げた。

 さらに首脳陣は低めへの制球の大切さを強調しているのに対し、井川は「フライでアウトを取らなければいけないというのが分かりました。高めでファウルも取れましたし。低めで勝負する投手じゃないなと」という始末。両者には明らかに溝がある。井川に代わる14日の先発として3Aのホワイト、ギース、現在中継ぎで活躍しているオーレンドルフらも候補に挙がっている。井川が窮地に立たされた。