<マリナーズ3-2パドレス>◇18日(日本時間19日)◇セーフコフィールド
【シアトル(米ワシントン州)18日(日本時間19日)=木崎英夫通信員】マリナーズのイチロー外野手(34)が盗塁の球団記録を打ち立てた。パドレス戦で1安打2盗塁をマークし、両リーグトップの20盗塁。83年にフリオ・クルーズが樹立した290を更新する292盗塁とし、球団32年の歴史に新たな足跡を刻んだ。
マウンドから正対する左腕エステスも苦にはしなかった。1回裏の第1打席、遊撃への内野安打で出塁。3番ロペスの初球にスタートを切った。外角高めの投球に体勢を崩したカーリン捕手の送球はワンバウンドしてベース右横へとそれた。この瞬間に、メジャー通算291個目の盗塁を成立させマ軍球団の記録を25年ぶりに書き換えた。
イチロー
やるなら今日やりたいなと思ってましたね。ホームスタンドでっていうのはちょっとありましたけど。
今季5番目の3万5483人の地元ファンから歓喜の拍手を送られると、ヘルメットを遠慮気味に少し上げて応えたのもつかの間だった。球場を包み込んだ余韻の中で、「そのへんの冷酷さが僕ですから」と、したたかに次を狙う意識は出来上がっていた。
一塁でリードを取っても甘いけん制しか見せなかったエステスのスキにつけ入らないわけがなかった。記録樹立直後の投球で、すかさず三塁へスタート。なんなく通算292個目、今季20個目を決めてしまった。その後の内野ゴロで先制ホームを踏み、貴重な1点を稼ぎ出した。
45試合を消化した時点で昨年より8個も上回るハイペース。この日は3番だったが、2番打者として成長するロペスの存在がある。20個の成功のうち、打席に立つロペスとの間で成功させたのが12個。「2番に入る選手によってその可能性がかなり広がったり狭まったりしますからね」と言う。自らが持つ盗塁の技術も次打者との意識の疎通によって生かされる。
試合前、スペイン語のラジオ解説でブースにいたクルーズ氏は「素晴らしい選手に抜かれるんだから2番になるのは光栄なこと。年間200安打で200回出塁するのだから80盗塁はできるよ」と柔和な顔で賛辞を送った。
このペースなら、メジャー1年目の01年にマークした56盗塁を超えるのは確実だ。3000本安打とともに、多くの可能性を秘めたイチローの「足」にも注目が集まり始めた。



