<マリナーズ4-7タイガース>◇5月30日(日本時間同31日)◇セーフコフィールド

 【シアトル(米ワシントン州)5月30日(日本時間同31日)=木崎英夫通信員)マリナーズ・イチローがタイガース戦の第3打席で右前打を放ち、日米通算の安打数を2936としてバリー・ボンズを抜いて単独で現役最多となった。

 異能の打者がまた1つ、偉人の記録を超えた。遊撃失策、二ゴロ併殺と2打席連続無安打で迎えた6回の第3打席にボンズ超えの一打を放った。カウント1-2から相手左腕ロバートソンの143キロ内角低めの速球をライナーでライトへ運んだ。昨年、激しい首位打者争いを展開したオルドネスが懸命に突っ込み最後はスライディング捕球を試みたがボールは芝の上で弾んだ。

 06年6月、シアトルで交流戦を戦った2人はともに本塁打を放っている。「すげえなと思うよ、持ってる技術が。力強いのにきれいでしょ」。形にこだわるイチローが賛辞を贈る数少ない選手がボンズだった。翌日、そのボンズがイチローを絶賛した。「ピート・ローズもイチローが初めからこっちでプレーしていたら困ったんじゃないかな。日本での10年はこっちでは失われた10年だからね」。環境は異なってもヒットを打つイチローの技術をボンズは純粋にたたえ、日本での実績がメジャーでも比較対象となることを認めた。

 またこの日、生涯打率として認められる目安のメジャー通算5000打数を越え、ヘルトン(ロッキーズ)を抜く3割3分1厘で現役トップとなった。だがイチローにとっては通過点でしかない。

 チームは、先発シルバが乱調で1回表に7失点の致命傷を負う展開で、連勝は2で止まった。会見を行わずに足早にクラブハウスから去るイチローは今日という日を過去にして立ち去った。