【ラスベガス(米ネバダ州)8日(日本時間9日)=四竈衛、大塚仁】オリオールズが上原、川上どりへ、いの一番で動いた。大リーグのウインターミーティングが同地で始まり、オフの動きが一気に活発化し始めた。なかでも、低迷脱出を図るオリオールズは、FAでメジャー入りを目指す上原浩治投手(33)川上憲伸投手(33)のダブル獲得を画策。球団社長や監督が、動きの鈍い傾向をよそに、資金力が豊富な他球団に先駆けて、積極的に攻勢をかけていく方針を打ち出した。

 速攻のラブコールだった。ウインターミーティング初日、会見に登場したオリオールズのトレンブリー監督は「まずはピッチングとディフェンスから」と来季に向けた補強ポイントを掲げた。その上で、大リーグを目指す上原、川上の獲得について「映像で見ている。彼らなら大きな助けになるだろう。日本人選手は今やどのチームでも力になっている」と熱望した。近日中に2人の代理人と交渉に入る予定であることも認めた。

 オ軍にとって、2人はのどから手が出るほど欲しいというアピールだった。ア・リーグ東地区最下位からの巻き返しに向け、何よりの補強テーマは先発投手。今季は2ケタ勝利が10勝のガスリー1人で、ローテーション5人のうち4枠が白紙状態だ。そのため上原、川上の両どりも辞さない構えで、マクフェイル球団社長は「他チームもそうだろうが、興味を持っている。去年から投手陣の整備が課題だった。期間中に交渉を進めていきたい」と早期の交渉開始に意欲を見せた。

 FA市場の流れをにらみながらの戦略といえる。今オフは大物FA選手が多く、先発投手もサバシア(ブルワーズFA)バーネット(ブルージェイズFA)ら年俸10億円を超えるレベルがごろごろしている。上原、川上ら日本人投手が市場に上るのはそうした大物の後とみられるが、オ軍はライバル球団が大物にアタックしているスキを突き、先制攻撃を仕掛けて1歩リードを狙う構えだ。

 川上の代理人を務めるダン・エバンス氏は「焦ることはない。デッドラインはない」と長期戦も辞さない構えを口にした。興味を示している球団の数については「言わない方が得策だろう」とニヤリ。「彼にふさわしい球団を選びたい。設備が整っていること、勝てるチームであることなどいくつかの要素がある。情報収集をしているところ」とオファーが出そろうのを待つ姿勢を見せた。

 上原、川上は長く先発投手として活躍してきただけに、ローテーションの枠が空いているオ軍のオファーは悪い話ではない。またオ軍は広島からFA宣言した高橋建投手(39)にも興味を示している。日本人が多く活躍するア・リーグ東地区にあってこれまで縁のなかったオ軍だが、一挙に複数の日本人投手が加入する可能性が出てきた。