【タンパ(米フロリダ州)18日(日本時間19日)=大塚仁】メジャー7年目のキャンプインを迎えたヤンキース松井秀喜外野手(34)に、開幕までの打撃専念指令が出された。野手組が合流しての全体キャンプ初日、練習後にジラルディ監督と2人で会談。4月6日の開幕戦(対オリオールズ)までのオープン戦全試合でDH起用する方針を伝えられた。外野での出場に意欲的だっただけに肩透かしとなったが、首脳陣は長いシーズンをにらんでひざ痛の再発防止を徹底させた。

 松井の復活はすべてがそのバットに託された。全体キャンプ初日の練習後に監督室に呼ばれ、ジラルディ監督の構想をその場で伝えられた。「開幕戦までは外野は守らなくていい。重要なのはヘルシーであることだ」。手術を経ている両ひざの状態を考慮し、オープン戦の間はDHでの出場に専念することが決まった。オリオールズとの開幕戦(4月6日)も、DHの立場で迎えることが確定した。

 自主トレでは良好な状態を保ってきたが、再発を何より恐れる首脳陣は慎重な姿勢を貫いた。この日の練習でも守備と最後のランニングは外れた。監督指令について「守備に関してはとにかく慎重にやっていこうということでしたので、それに関しては了解しています」と素直に理解を示した。出場機会を増やす意味でも外野守備に意欲的だったが、当面の出場はバットで勝ち取るしかなくなった。

 ジラルディ監督は開幕以降の青写真をすでに描いている。打順は1番デーモン、2番ジーター、3番テシェイラ、4番ロドリゲスまでが確定。松井はまずはDHとして、5番以下をポサダ、スウィッシャーらと争う。その後は試合を消化しながら起用法を見極めていく予定で、同監督は「ひざが良くなれば状況は変わるかもしれない」と回復次第で松井を守備につかせる可能性も示唆した。

 DHとしての出場にもハードルは残っている。全力でのランニングはまだ解禁されておらず、週明けの23、24日に試験的なランニングを行い、問題がないと判断されて初めて25日のオープン戦開幕にDHとして出場が可能となる。現時点での全力のランニングは「無理でしょう。やってないから」と松井自身がシビアに判断しており、慎重な調整が要求されるのはDHでも変わらない。

 守備にストップがかかったのは明るい材料ではないが、開幕までにやるべきことが絞られたことが吉と出る可能性もある。開幕シリーズで当たるオリオールズは初戦のガスリー、2戦目の上原ともに先発投手が右腕。状態が悪化さえしなければ松井がDHとして打席に立つ可能性は高いが、ただバットで結果を出すだけだ。