エンゼルスを悲劇が襲った。8日(日本時間9日)のアスレチックス戦に先発したニック・エイデンハート投手(22)が、9日未明に交通事故で死亡した。6回無失点と好投した数時間後の悪夢に、ソーシア監督は「忘れることのできない悲劇だ」と言葉を失っていた。

 事故はカリフォルニア州フラートンで起きた。信号無視のミニバンが、同投手を乗せた車に激突。エイデンハートが搬送先の病院で息を引き取ったほか、同乗の友人2人も死亡した。ミニバンの男は近所の22歳。逃走後に身柄を拘束されたが、過去の飲酒運転で免停中だった。事故当時も血中アルコール濃度は基準値を上回っていた。

 9日のエ軍対ア軍戦は中止。他球場でも試合前に黙とうがささげられた。同投手の父ジムさんは、だれもいないエンゼルスタジアムのマウンドで涙を流しながらたたずみ、ミーティングで球団への感謝の言葉を述べたという。主砲のハンターは「すごく楽しいヤツだった。これから寂しくなるよ」と肩を落とした。

 エイデンハートは、メリーランド州の高校から、ノースカロライナ大奨学生の誘いを蹴って、04年ドラフト14巡目(全体413番目)でエ軍入り。昨年メジャーデビューし、3試合に登板して1勝0敗。今季はベースボールアメリカ誌でチームNO・1有望株に選定されていた。