<オリオールズ4-5レンジャーズ>◇24日(日本時間25日)◇オリオールパーク

 【ボルティモア(米メリーランド州)=小島信行】あと1人で白星スルリ…。オリオールズ上原浩治投手(34)はレンジャーズ戦で先発し6回2/3を投げ4安打、2失点、6奪三振と好投したが、あと1アウトで3勝目が消えてしまった。勝敗は付かなかった。勝ち投手の権利を得て2点リードで降板したが、9回2死からリリーフ陣がまさかの逆転を許した。それでも前回7失点したレンジャーズ打線にリベンジし、首脳陣の信頼を深めた。次回は29日(同30日)のエンゼルス戦に先発する予定だ。

 マウンドを降りる上原は地元ファンのスタンディグオベーションに、帽子をとってこたえた。7回途中2失点の好投。ベンチに戻った後にはスタンドで「コウジ」コールも起きた。あと1人のところで痛恨の逆転負け。1点リードの9回2死一塁から、守護神シェリルがヤングに逆転2ランを浴びた。

 一瞬で3勝目の白星がスルリと逃げたが、地元ファンの大声援が胸に響いていた。上原は「(スタンディングオベーションに)ああいう経験は初めて。うれしかったです」と素直な気持ちを口にした。最高の内容は、最高の結果には結びつかなかったが、大きな手応えをつかんだ試合だった。

 速球はメジャーで最速となる91マイル(約146キロ)をマークした。6回途中でも89マイル(約143キロ)を記録したように、中4日先発でもスタミナ切れはなかった。2点リードの7回2死から前回対戦で1発を浴びているデービスを迎え降板したが、13日の試合で7失点したレンジャーズ打線を力で抑え込んだ。

 上原は「前回、ボコボコにやられているんで、やり返せたのはよかった。内容もとてもよかったと思います」。中4日の先発ローテで回転する不安説も吹き飛ばした。適応能力も、見せつけた。ステップする左足がクロスしないようにストレートに矯正。左打者の内角直球がシュート回転して甘くならないように、プレートの踏む位置を一塁側にズラす工夫もした。「打たれたから変えました。なるようにしかならないし、やりたいようにやっています。話せないけど、参考にしているものはあります」と結果に結びつけた。

 痛恨の逆転負けにも「チームの抑え投手が打たれたのだから仕方ないです。イニング途中の交代?

 監督がスタンディングオベーションを経験させたかったんじゃないですか。でも、後悔はしていませんが、交代は交代ですからね」。それでも最後は、少しだけ悔しさをにじませた。自分のピッチングさえできれば、結果はついてくる。環境に順応すれば、中4日先発もこなせる―。結果的に白星は付かなかったが、上原には収穫の多い試合だった。