<レッドソックス2-8ブレーブス>◇19日(日本時間20日)◇フェンウェイパーク

 ブレーブス川上憲伸投手(33)がレッドソックス松坂に投げ勝ち、28日ぶりの4勝目を手にした。日本時代にもない公式戦初の先発対決が実現し、完全アウェーの敵地で結果、内容とも松坂に完勝。6回を2安打2失点、6回2死まで強力打線を無失点に封じる力投で、33歳最後の登板を白星で飾った。

 「魂」を奮い立たせるシナリオができていた。ブレーブス川上は502戦連続で満員札止めのスタンドを不敵に見上げ「球場は狭いし、敵のファンばかり。まあ、それはそれですごく気持ち良かった」と闘争心に火が付いた。

 1回からエンジン全開。先制パンチを浴びた松坂とは対照的に、最速94マイル(約151キロ)の直球主体で、いきなり3者連続空振り三振を奪った。「コントロールは良くなかったけど、球威で押した。置きにいかず、腕を振って、勢いをつけてファウルでもカウントを稼ぐことができた」とボールに力を込めた。直球と最大43キロ差あったスローカーブとの緩急も絶妙。直球が高めに抜けても、球威の分だけバットを詰まらせた。

 敵は強ければ強いほどいい。松坂との公式戦初対決に「意識はしますよね」と本音を隠さなかった。ややかみ合わなかった打線から先制、中押し、ダメ押し点と大量援護を受け、5回まで1安打無失点。その時点で松坂はKOされ、「日本でもいつも以上に注目されているだろうし、やっぱり恥ずかしいピッチングはやってはいけないと思っていた」と完勝の内容に満足した。白星は8回無失点の快投を演じた5月22日ブルージェイズ戦以来。そのときも現両リーグ1位の10勝を挙げるハラデーに投げ勝っており、コックス監督は「あのハラデーを負かし、この球場で2安打ピッチングとは、なかなかできない」と勝負強さに目を見張った。

 安打を許したのは4番ベイだけ。6回2死から2ランで完封を阻止され、6回83球目でマウンドを譲った。やや体の張りを感じており、「無理して迷惑をかけたくない。代わりたいのは、僕の意見でもありました」。次回先発は中4日で24日ヤンキース戦。スター軍団を相手に、川上が燃えないはずがない。【中島正好】