<ホワイトソックス2-5ドジャース>◇23日(日本時間24日)◇USセルラーフィールド

 【シカゴ(米イリノイ州)=佐藤直子通信員】ドジャース黒田博樹投手(34)が4月6日の開幕戦(対パドレス)以来、約2カ月半ぶりの2勝目を挙げ、エース復活ののろしを上げた。今季初の完投こそ逃したが、ホワイトソックス打線を相手に8回2/3を投げて、4安打2失点無四球9奪三振の快投だった。握りを変えてより沈むようになったツーシームがさえ渡った。次回は28日(日本時間29日)マリナーズ戦に登板する。

 ホッと顔をほころばせた黒田がベンチから飛び出した。守護神ブロクストンが最終打者を三振に切り、実に78日ぶりとなる待望の白星。思わず本音を漏らした。「しんどいですね。勝つというのは簡単なことじゃない。本当に長かった。やっぱりしんどい思いをして、いろんなこと考えながらやって、やっと勝てると思います」。

 左脇腹痛で2カ月戦線離脱をし、復帰後は4試合に先発して0勝3敗だった。4戦で打線の援護はたった3点。「僕はそんなに勝てる投手じゃない。我慢が大事。きっかけさえあれば変われる」と歯を食いしばった。

 きっかけは自分でつくった。「現状維持では抑えるのが難しい」と、前回のブルペン練習でツーシームの握りを少し変え、ボールがより沈む効果を確認。「どうしても勝ちたかった」と即採用した新ツーシームが、面白いようにハマった。

 「開き直って(新しい握りに)トライしようと決めました。そのくらいの覚悟でいかないと。100%(成功)というわけにはいかない。でも、困った時の選択肢が1つ増えたのは確かです」。沈みながら低めコースいっぱいに決まるツーシームに、強打者のそろうホ軍打線が沈黙した。

 最大のヤマ場となったのは4回。1死から右前打を許したが、通算本塁打553本のトーミを空振り三振、同じく307本のコネルコを見逃し三振。いずれも決め球は、ツーシームだった。

 小気味いいテンポで次々とアウトの山を築き上げた。103球の力投。トーリ監督は「制球と球の動きで生きる黒田本来の投球だった」と目尻を下げた。「今日の1勝は僕にとって大きい。次につながると思うし、つなげないといけない」と黒田。完全復活を果たしたエースが、地区首位を走るチームの勢いを加速させる。