<タイガース4-3レイズ>◇8月30日(日本時間31日)◇コメリカパーク

 【デトロイト(米ミシガン州)=千葉修宏】故障者リストから復帰後、2戦目となるレイズ岩村明憲内野手(30)が、タイガース戦で豪快な今季1号を放った。メジャーを代表する剛腕バーランダーの外角直球を左翼席へ運んだ。チームは逆転負けを喫したが、攻守の要・岩村の打撃好調ぶりは今後への明るい材料となった。レ軍は31日のタ軍戦後、本拠地セントピーターズバーグに戻り、ワイルドカードを争うレッドソックスとの大一番に備える。

 師匠・中西太氏直伝の鋭い打球が、左翼上空へ舞い上がった。1点リードの4回表2死。岩村は、バーランダーの初球、外角92マイル(約148キロ)直球を、力強くはじき返した。「ここ(コメリカパーク)のレフト方向は距離が必要なんで。ポイント、タイミングすべてが完ぺきな状態で打ったから、あそこまで飛んだんだと思います」。打球は約113メートル

 離れた左翼フェンスを軽々と越え、スタンドへと飛び込んだ。

 岩村はこれでメジャー通算14号。半分以上の8本が左翼から中堅へかけてのアーチだ。「中西さんには『タイミングとポイントさえしっかり合えば、ボールは飛んでいく』と言われている。逆方向だろうが、センターだろうが飛んでいくんです」。タイミングとポイントを合わせるには、下半身の安定も必要。試合後には「足の状態は、試合を見てもらえば分かる。おかしければ代わってるでしょ」と、手術をした左ひざが大丈夫だと強調した。

 ただ「ケガをして、今年はホームラン0で終わるのかななんて話もしてたんですけど。こうして1本出たことで、ホッとはしています」と喜びながら、自らの本塁打だけに酔いしれることはなかった。チームは8回にポランコに逆転3ランを浴びて惜敗。ワイルドカード争いで、トップのレッドソックスと5・5差に、差を広げられてしまったからだ。

 だからこそ岩村は試合後、アイシングを済ませると、真っ先に監督室へ向かった。マドン監督に31日のタイガース戦も出場できると直訴するためだった。しかし、これは却下となった。

 同監督は当初から、31日のタ軍先発が左腕ワシュバーンであるため、岩村を休ませ、9月1日からのレッドソックス3連戦でフル稼働させるつもりでいた。それでも岩村は「ひざの状態は良い。試合の終盤になったら出るかもしれないし、準備はしておきます」。31日へ向け休養気分はまるでなかった。