【シカゴ(米イリノイ州)11日(日本時間12日)=四竈衛、佐藤直子通信員】今季で契約切れとなり、FA手続きを済ませたヤンキース松井秀喜外野手(35)の移籍交渉が、長期化することが確実となった。最終日となったゼネラルマネジャー(GM)会議では、松井、ヤ軍側とも進展がないまま終了。他球団との交渉が解禁となる20日(同21日)までのヤ軍との交渉で、残留か退団が固まる見通しとなった。

 3日間にわたるGM会議の期間で、松井側とヤ軍の折衝は明確な方向性を見いだせないままに終わった。代理人を務めるテレム氏は「2日前と変化はない。まだヤンキースはチームの細部を話し合っている段階。ゆっくりとだが、今は始まったばかりだから」と、今週末から次週にかけて本格交渉を進めていく考えを示した。

 同氏によると、ヤ軍キャッシュマンGMとは「握手を交わし、ハグした」と、現段階ではあいさつ程度の接点であると説明した。だが、ヤ軍の優先交渉権のリミットは19日。20日以降になれば、他球団との交渉が解禁となるだけに、それまでに松井側が納得する条件をヤ軍側が提示しない限り、退団の可能性が高まる。実際、テレム氏は、ヤ軍を最優先に挙げながらも、他の数球団と「接触」していることも認めた。「(球団数は)そんなに多くはない。ただ、19日までに他球団との交渉は始められないし、そんなことはしない。今はヤ軍と話すのを待っているが、2週間以内にできないかもしれない」。ヤ軍側の遅い動きをけん制するかのように、「決裂後」の仮定の話をにおわせた。

 それでも、キャッシュマンGMは、松井を「偉大な選手」と評する一方で、「2010年には我々に何が必要で、どの方向に向かっていくべきか。今はそのための過程の段階だ」と語り、慎重な方針は崩していない。外野守備の希望を持つ松井と、「うちでは指名打者だけ。(外野手としてのチャンスは)ない。その信頼はなかった」とする同GM。球団ではデーモン、ペティットら大物FA選手を抱えており、本格交渉によりシビアな態度で臨むことは避けられない。

 これまで松井自身は残留を本線としてきたが、周囲の状況は着実に退団へ傾きつつある。移籍先の候補に挙げられていたマリナーズが、この日DHのグリフィーと1年契約で合意したため、事実上「消滅」。現段階では、エンゼルス、レッドソックス、メッツなどが松井獲得を狙っており、19日までにヤ軍が明確な姿勢を見せない限り、争奪戦が始まる可能性はより高くなってきた。