「お遍路さん」に願を掛ける。パイレーツにトレード移籍した岩村明憲内野手(30)が29日、四国八十八カ所の霊場を巡ると宣言した。約1450キロの走行距離を12月中旬と年明けの2回に分け、約1週間で巡る「弾丸ツアー」を敢行。「ハードだけど気合と根性で回ります」と、球界でも例のない荒行に挑む。

 思い立ったら実行に移す。帰国後、ぼんやりあこがれていた巡礼への旅に、心が駆られた。「1人の四国人として『いつかは』という興味があった。今年はひざをけがし、チームも変わって、いいタイミングだと思っている」。今オフはテレビ出演を控えめにし、左ひざの状態もあり本格始動は1月12日からの沖縄自主トレから。時間的な余裕ができたことも、巡礼への思いを強くした。

 徒歩だと30~40日を要する。来春2月のキャンプ渡米までに八十八カ所の踏破はさすがに困難なため、選んだのは車。「最初の2泊3日で(一番霊場のある)徳島から高知まで巡りたい」とプランを立てる。ただ駐車場から離れた山寺や、車で通行できない難所も多く、そして石段の昇り降りは左ひざへの負担が大きい。バスツアーでは少なくても10日間の旅程を取るだけに、7日弱での走破を試みるには過酷な挑戦となる。

 そして巡礼詣での締めとして1月下旬、同巡礼ゆかりの空海を開祖とする高野山(和歌山)にも足を運ぶ徹底ぶり。「もちろん、1年間けがをしないという願掛けの意味を込めて」と、来季への強い決意をにじませた。【中島正好】