【インディアナポリス(米インディアナ州)7日(日本時間8日)=大塚仁、佐藤直子通信員】ヤンキースからFAとなった松井秀喜外野手(35)の去就問題が、さらに長期化の度を深めてきた。この日開幕したウインターミーティングで、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(42)は交渉の優先順位は先発投手、外野手、指名打者(DH)の順になると明言。DHとしてとらえる松井との接触は続けつつも、条件提示などの本格交渉は当面行わない方針を示した。他球団も慎重な姿勢を示しており、決着は年を越す可能性が高くなった。

 スタート直後から長時間耐久レースの様相を呈してきた。ウインターミーティング初日、キャッシュマンGMはここにきて定まった3段階の補強方針を明確に打ちだした。「我々は先発投手が必要で優先的に交渉している。次の優先が外野手。その後でDHに目を向ける」。来季残留でもDH起用のスタンスを崩さないヤ軍にとって、松井との交渉はまだ遠くの関門でしかない。「前回(4年前)も松井はどこでもプレーすると公言し、退団の可能性は大いにあった。それを乗り越えた」と4年契約を結んだ05年オフを引き合いに出し、焦りも見せなかった。

 同GMは松井の代理人アーン・テレム氏(55)との接触を開始し、連日のコンタクトは続けている。それでも予算の制限があるため本格的な条件提示には至っていない。「DHにどれだけお金を使えるかは、先発投手にいくら使い、どれだけ残るかによる」。米国内の報道によれば、ヤ軍の年俸総額は今季の2億800万ドル(約177億円)から1億8500万ドル(約157億円)に減額させる方針を固めている。この日ブライアン・ブルーニー投手(27)のナショナルズへのトレードが正式発表され、FAのアンディ・ペティット投手(37)も残留間近と報じられる。実際に投手陣の整備を進めており、松井に金額提示をできる段階にはなかった。

 他球団も慎重な姿勢を崩さない。エンゼルスのリーギンスGMは「どうなるか状況を見よう」と松井へのトーンは控えめ。「外野は充実しているし、優先順位はそこじゃない」と語り、FAとなっているDHゲレロについても「彼は残りたいと思っているし、我々も同じ」と継続中の残留交渉に自信をのぞかせた。興味を問われたレッドソックスのフランコナ監督も「DHが2つあればね…」と現実問題にはとらえていなかった。レ軍はベイ外野手の再契約や斎藤、ワグナーが抜けた救援投手の補強が先。DH中心の起用となる松井を、何よりも優先して獲得に乗り出せないのはどこも同じだった。

 踏むべきプロセスを考えれば、松井の去就が決着するのは年明け以降となる可能性が高い。ただ昨年もFA宣言した171選手のうち、年内に契約合意まで至ったのは39人だった。米国内で来季に向けた治療やトレーニングを始めている松井も、当初から長期戦の覚悟は決めている。移籍市場全体は動きだしたが、やはり松井にとっては我慢の日々が続きそうだ。