<オープン戦:エンゼルス6-5パドレス>◇9日(日本時間10日)◇米アリゾナ州テンピ
【テンピ(米アリゾナ州)=大塚仁】エンゼルス松井秀喜外野手(35)がパドレス戦で「4番DH」としてオープン戦初出場し、新天地デビューをヒットで飾った。1回2死一塁の1打席目は空振り三振だったが、4回2死の第2打席では中前打を放った。ヤンキースから移籍後初の実戦で2打数1安打。チームの勝利もあって、上々のデビューとなった。スタンドは新4番を拍手と歓声で歓迎し、「赤ゴジラ」が記念すべき1歩をしるした。
派手な効果音はいらなかった。「赤一色」の松井が打席に向かって歩き出しただけで、ほかの選手には送られない大きな拍手がわき起こった。名前がアナウンスされるとスタンドのあちこちから声が飛んだ。「ウエルカム・トゥ・カリフォルニア!」「ニューヨークを倒してくれ!」。3536人の観衆が、背番号55を熱烈に出迎えた。ついにお披露目された「エンゼルス松井」は、地元ファンのボルテージを一気に引き上げた。
ファンの熱い思いに、松井はすぐこたえた。1回2死一塁の初打席は、右腕ヤングに空振り三振を喫したが、2打席目の4回2死走者なしで2番手右腕リズから移籍初安打をマークした。カウント1-3から真ん中の92マイル(約148キロ)速球をたたいて中前打。予告していた「好球必打」を見事に実践した。「ゴロにはなりましたけどね。しっかり打てたと思います」。代走を送られ、予定の2打席でお役御免の交代。地元カリフォルニアではFOXテレビ系列局が生中継するほど、注目された初舞台でしっかり結果を出した。
あいさつ代わりの中前打は、技術と経験が凝縮されていた。現在も左ひざに不安を抱えるためキャンプ序盤は慎重な調整に終始。コーチが投げる球しか打っておらず、本職の投手との対戦は初めてだった。第1打席の初球は真ん中の速球を「ちょっと遅れた」と見送りカウントを悪くした。だが第2打席は、ボールを選んで有利なカウントから甘い速球を仕留めた。「やっぱり1打席目と2打席目ではだいぶ感じは違う。ちょっと慣れた部分はあった」。メジャー8年目、プロ18年目の修正、調整能力は新天地初戦でも随所に光った。
ソーシア監督は新4番のデビューに、「いい感じだった。これから多くの球を見てスイングを重ねていく。多少の時間は必要だろうが、すぐに良くなるだろう」と期待通りを強調した。さらに「クラブハウスではほかの選手とリラックスしている。若手、ベテランを問わず、彼らはお互いリスペクトしている」と経験を持つ松井の加入が与えたメンタル面の効果も指摘。3年連続ア・リーグ西地区優勝中のチームが、確固たる名門の地位を築くために招いた「切り札」は早くも機能し始めている。
10日(同11日)のレッズ戦も出場する。適度な休養を挟みながら打席数を重ねていく予定だが、順調にいけば来週にも実戦での守備に挑戦する。慎重に段階を踏むプロセスにあせりや気負いはなく、「シーズンに入れば、みなさんの期待に応えられるようにしたい」。大きな期待を力に変えて、第2のメジャー人生が幕を開けた。



