<ドジャース9-3パイレーツ>◇2日(日本時間3日)◇ドジャースタジアム

 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=中島正好】ドジャース黒田博樹投手(35)がパイレーツ岩村明憲内野手(31)を封じ、8回を5安打1失点でチームトップの3勝目を挙げた。メジャー初顔合わせの岩村を3打数無安打に抑えるなど、パ軍に連打を許さず、走者を三塁に進めたのは失点した4回のみ。ストライク率7割2分9厘という制球力、球威、スライダーの切れとも満点で、3回に右かかとをスパイクされたアクシデントも乗り越えた。

 好敵手との勝負心を自制して、黒田はチームの勝利に徹した。まだ2点リードの3回2死一塁、岩村の打席で二盗されると、1-0から4連続ボール。この日、ただ1つ与えた四球だった。「次がスライダーに合ってなかった。岩村で勝負したかったけど、タイムリーになったらゲーム展開がおかしくなる」。敬遠気味に歩かせ、あえて勝負を挑んだ好調マカチェンをイメージ通りに初球の横スラで、バットの先端をこすったような一ゴロに打ち取った。

 アクシデントにも動じない。その一ゴロでベースカバーに入った際、右かかとをマカチェンに踏まれた。軸足を負傷し一瞬、その場で立ち止まるほどの激痛が走った。それでも「テーピングを勧められたが、テープを巻いて投げるのは好きじゃない」と、何事もなかったかのように続投した。

 最速96マイル(約155キロ)は負傷した4回以降だけで5球を計測。後半は最後まで球威が落ちない速球で押した。一方、立ち上がりを支えたのがスライダー。4年ぶりに対戦した岩村が「(日本では)真っすぐとフォーク。あんなにスライダーを投げるイメージはなかった」と驚いたように、縦横の変化を自在に操り、切れ味も鋭かった。そして持ち味の制球力も絶品。岩村の四球を除けば3ボールは1度だけ、96球中70球がストライクで、同率はメジャー56回目の先発で最高だった。ふだんは自己評価に厳しいが「今日のベストを尽くせた」と満足した。

 6、7回はバックの美技に助けられ、打線からは大量点をもらい「気分よく投げられた」と2年ぶりの完投も望めるペースだった。まだ借金3と苦戦するトーリ監督を「リードする状況でお手本のような投球。8回まで投げたのも、我々の期待以上」と喜ばせた。メジャー区切りの20勝目。開幕投手パディーヤが離脱し、実質4人で先発を回す苦しい台所事情だが、「当然、行けと言われたら(完投)できたが、5日後に同じようなピッチングをする方が大事」と、次回も中4日で7日(同8日)ロッキーズ戦のマウンドに立つ。