<パイレーツ3-2ブレーブス>◇23日(日本時間24日)◇PNCパーク

 パイレーツ岩村明憲内野手(31)が41打席ぶりの安打をマークした。ホームでのブレーブス戦に「1番二塁」で先発し、5回2死二塁で、5月7日カージナルス戦以来となる右前打を放った。7回にも左中間二塁打を打った。「ヒットは精神的に苦しかったことを忘れさせてくれた。きっかけになる」と、今後の巻き返しを誓った。

 気持ちがおかしくなりそうな長いトンネルを抜けた。1点を追う5回2死二塁の第3打席。岩村が、ブレーブス先発右腕メドレンから右前打を放った。チェンジアップ2球で追い込まれながら、ボール球を見極めフルカウントに持ち込んだ。最後は、この打席5球目のチェンジアップを右前へ運んだ。

 二塁走者が本塁で刺され、適時打にはならなかった。だが岩村は「粘っている間に自分のリズムに戻れた。心の中ではめちゃめちゃガッツポーズしていた」と喜んだ。

 5月はここまで2安打。15日の試合では右太もも裏を故障した。日米通算1500安打を前に陥ったどん底を振り返り「簡単にいくような精神状態ではなかった」。だが吹っ切れた。7回には左中間のフェンス手前まで飛ばす二塁打。4月28日以来の複数安打で勝利に貢献。「1本目のヒットが精神的に苦しかったことを忘れさせてくれた。二塁打も笑いが止まらなかった」と本音を隠さなかった。

 09年、痛めた左ひざは以前の状態ではない。当時、奇跡的に3カ月で戦列復帰したが、今でもプレーに影響がないといえばウソになる。それでも自主トレからのひざ強化が形になりつつある。

 岩村はトレーニングにMUSTECという高齢者の体力向上のためのマシンを導入。体重より軽い負荷でスクワットを行うことにより、腰やひざに余分な負荷をかけずに下半身を強化してきた。そして岩村をバックアップするパ軍も、シーズンに入り、このマシンの導入を決定したのだ。

 今季年俸485万ドル(約4億3650万円)はチーム野手最高年俸。期待の裏返しで、ここ数試合は本拠地でブーイングを浴びることも多かった。だが「(久々の安打が)きっかけになる」と岩村。巻き返しへ手応えは十分だ。