<ドジャース3-0フィリーズ>◇30日(日本時間31日)◇ドジャースタジアム

 【ロサンゼルス(カリフォルニア州)=水次祥子】ドジャース黒田博樹投手(35)が「あと5人」でノーヒットノーランという快投で、メジャー3年目で初の10勝目をマークした。96、01年の野茂英雄に次ぐ日本人投手2人目の快挙とはならなかったが、ナ・リーグ屈指のフィリーズ打線相手に7回2/3を投げて1安打3四死球7奪三振で無失点。5月に完全試合を達成し、今季16勝のハラデーに投げ勝った。

 ノーヒットノーランへの期待が高まった8回1死一塁。カウント1-1から、黒田が投じたシンカーは真ん中寄りに入った。右前に運んだビクトリノが一塁に到達した時、スタンドからは、好投をたたえるスタンディングオベーションが起こった。黒田は気持ちを切らさず、次の打者を「狙い通り」の内角速球で空振り三振に仕留めた。お役御免でマウンドを降りると、再び、鳴りやまない拍手と歓声が響いた。

 広島時代は「そんなに長いイニングはなかった」という無安打無得点。ツーシームと変化球がさえ、打者のタイミングを外した。球団では96年9月17日ロッキーズ戦の野茂以来となる達成まであと5人という投球に、トーリ監督は「ヒロの今日の球はしびれるほど見事だった。達成してほしかった」と絶賛。黒田は「自分も自分に期待してましたけど。どっかで、できるわけないというのもありました。ファンに申し訳ないという気持ちもありました」と振り返った。7回にはハラデーから今季初安打となる中前打を放ち、「いつ打つんだって言われていたので、プレッシャーから抜けられる」と笑みを浮かべた。

 メジャー3年目にして初の2ケタ勝利に黒田は「いい投球をしても勝てないこともあったし、どうしていいか分からない時もあったけど、1年間あきらめずに投げ続けてきて良かった」とかみしめるように話した。この日、主砲ラミレスのホワイトソックス移籍が正式に発表され、動揺が広がる中、ワイルドカード争いトップのフ軍を直接倒し、ゲーム差は5・5。黒田は「残ったメンバーで力を合わせて。まだチャンスはあると思います」と力強く話した。