<エンゼルス4-3インディアンス>◇8日(日本時間9日)◇エンゼルスタジアム
【アナハイム(米カリフォルニア州)=大塚仁】エンゼルス松井秀喜外野手(36)がルーキー時代以来の屈辱を味わった。スタメンを外れたインディアンス戦で1点リードの8回1死一塁、代打で登場したが、相手が左投手を送り込むと、マイク・ソーシア監督(51)に代打の代打で右打者ケンドリックを送られベンチに引っ込められた。「代打の代打」を出されたのはメジャー初どころか巨人1年目の93年以来2度目になる。最近の好調も考慮されることなく、いっそう厳しい立場に追いやられた。
肩透かしもいいところだった。5試合ぶりのスタメン落ち。ようやく声がかかったのは1点リードの8回1死一塁だった。すかさずイ軍は左腕R・ペレスをマウンドに送る。だが松井にとっては過去5打数4安打、7日(同8日)も安打を放ったカモ中のカモだった。勇んで打席に向かう松井に、ベンチから出たのはケンドリックへの交代指令。打席に立つことなく逆戻りすると、後は延長16回までの長い「試合観戦」を強いられた。
非情というより不可解に近かった。松井は前日にチーム月間MVPを受賞したばかり。8月14日からの18試合で62打数25安打、打率4割3厘。その期間ではア・リーグ全体でも3位の結果を残した。試合前にスタメンが発表された時点で、ソーシア監督には「なぜ松井を休ませるのか?」という質問も飛んだ。「松井は多くプレーしているし、アブレイユをDHにする必要がある」。今季の打率2割5分、最近10試合の打率1割3分5厘というアブレイユの状態を考えれば説得力のない回答だった。
最も好調な松井を最もぜいたくに起用した揚げ句、ケンドリックは凡退して追加点を奪えなかった。直後の9回に追いつかれ、試合は延長16回の4時間57分ゲーム。最後はマシスの犠飛でサヨナラ勝ちしたが、もはや試合の準備をする必要のない松井はベンチ裏におり歓喜の輪には加われなかった。「代打の代打」については「びっくりっていうことはないですよ。やっぱりチームが勝つために選んでる戦術ですから、それは別に、大丈夫ですよ」と時間がたっていたこともありあくまで「大人の対応」。それでも巨人1年目の93年以来とあって、相当な屈辱には違いなかった。
ソーシア監督は試合前、松井について「開幕当初はいいスタートを切った。その後の不調を見事に乗り越えた。頼もしい存在としてシーズンを終えることを確信している」と話していた。だが数時間後には打席に立たせずにベンチへと引っ込めた。松井の去就は現時点では微妙だが、来季の構想に入れているベテラン選手に対する起用法ではない。日本からこの試合を観戦に訪れたファンの落胆も計り知れない。チームのために戦い抜くという松井の思いは、今季のうちには到底実を結びそうにない。



