パイレーツから戦力外通告を受け、フリーエージェント(FA)となっていた岩村明憲内野手(31)が、アスレチックス入りすることが12日(日本時間13日)分かった。13日のロイヤルズ戦からチームに合流する。ア軍では、腰痛のクーズマノフ三塁手が5日のエンゼルス戦以来プレーしていない。そのため二、三塁を守れ、ビーンGM好みの高出塁率を誇る岩村に白羽の矢が立った。この時期のプレーは来季契約へ格好のアピールにもなりそうだ。

 パイレーツ3Aで黙々とプレーしてきたことが実った。岩村本人が「ビックリ」と題した13日付ブログで「今日、オークランド・アスレチックスに入団する事になりました」と発表。また大リーグ公式ホームページも「フォーストGM補佐がすでにサインをしたことを認めた」と報じた。岩村は13日に、カンザスシティーからロード6連戦を始めるア軍に合流。カウフマンスタジアムで契約が正式発表される見込みだ。

 ア軍は腰痛の三塁クーズマノフが6戦連続欠場中。いつ戦列復帰できるか分からない状態だ。岩村はレイズ2年目の08年に本格的に三塁から二塁へ転向。以来、二塁に強いこだわりを持つが、今季不調で降格した3Aで複数ポジションを守る重要性を認識。マイナーでは二塁の9試合に対し、三塁で38試合に出場し、かつての勘を取り戻した。

 この契約は、ア軍、岩村双方に利益がある。今季年俸が約4億1225万円と高額な岩村だが、パ軍がほぼ全額を負担。ア軍が岩村に支払うのは、メジャー最低年俸40万ドル(約3400万円)を残りの登録日数で日割りした400万円程度で済む。この低価格でクーズマノフの戦列復帰まで、当面は正三塁手を確保することができる。

 ア軍は12日現在、71勝71敗。残り20試合で、地区首位レンジャーズと8・5ゲーム差の2位。ワイルドカード争いでもトップのレイズと15ゲーム差。プレーオフ進出は絶望的だが、岩村にとっては来季大リーグ残留へ絶好のアピールとなる。

 3Aで今季を終えた場合、来春のキャンプまでにメジャー契約を結ぶことは困難。だがこれでア軍を含めた30球団へ、現在の調子を示すことができる。岩村はブログで「大どんでん返しですね

 1週間のブランクはありますが、3Aでの時間が無駄じゃなかったことを証明してきます」と意欲を記した。