ドジャースからFAになった黒田博樹投手(35)が13日、約1200万ドル(約9億6000万円)の1年契約でド軍残留の意思を固めたことが分かった。古巣広島から復帰ラブコールが届くなど、日米争奪戦の展開となっていたが、ワールドシリーズ制覇に再挑戦するため米残留を決意。シーズン中から契約延長を申し入れていたド軍と金銭条件などの最終調整に入った。

 黒田はあえて1年勝負を選んだ。ド軍提示は年平均1000万ドル(約8億円)以上の複数年だったが、この好条件を断って1年契約を申し入れた。黒田に近い関係者は「日米どちらかで悩んだ時期もあったが、『メジャーでやり残したことがある』との思いが強くなったようだ」と明かした。

 今季は31試合に先発し自己最多の11勝(13敗)を挙げ、防御率3・39。ただメジャー通算3年で28勝30敗と負け越し、チームに貢献できたとは思っていない。だからロッキーズ、ヤンキースなどから獲得を試みる動きにも「移籍」へと心が揺れることなく、残留を最優先した。今季年俸が約1540万ドル(約12億3000万円)と投手陣ではチーム一と高額なため、残留条件は大幅減も予想されたが、ド軍も黒田の「おとこ気」に報いる意向。現時点でファーカル遊撃手と並ぶ来季チーム最高年俸の1200万ドルを提示している。

 早ければ週明けにも契約合意が発表される。黒田は契約延長のオプション(選択権)も希望しておらず、来オフには再びFAになる見込み。機が熟せば、日本球界復帰にも含みを持たせた1年契約になる。