レッドソックス松坂大輔投手(30)が危機感いっぱいで来季に臨む。12日、萩本欽一監督率いる茨城ゴールデンゴールズ戦に、自らのチーム「サムライ」を率いて参加。9打数7安打7打点と大暴れした。試合後は「来季は、楽しんでいるだけではいられない。まずはスタートラインにみんなと同じように立てるようにする」と注目発言。ほかの先発投手候補との競争を覚悟し、ケガせずにローテーションを確保することを第1目標に掲げた。

 「横浜高時代の良い思い出しかない」という平塚球場で、松坂が圧巻の打棒を見せた。4点を先制された後の1回裏1死一、二塁。カウント1-1からの104キロ直球を、豪快に満員の左翼スタンドに運んだ。その後も中前打3本、右前適時打、中適時二塁打2本と固め打ち。本職のマウンドには上がらなかったものの、9打数7安打7打点のパフォーマンスに、ファンも大満足で家路に就いた。

 だが試合後のインタビューを受ける松坂の表情から、笑顔が消えた。正式に加入の決まったクロフォード(レイズFA)と、パドレスからトレードで加入した左の大砲A・ゴンザレスに話題が移った時だった。

 松坂は「クロフォードはとにかくいやらしいバッターで、ピッチャーとしてはすごく助かる」「ゴンザレスはフェンウェイパークでレフト方向へのホームランがまた増えるでしょうし、ガンガン打ってもらえたら」と期待。その上で「楽しんでいるだけではいられないのが、今の僕の立場。『Wシリーズに勝ちたい』とは言ってますけど、まずはスタートラインにみんなと同じように立てるようにすることですね」と危機感をあらわにした。

 現在、レッドソックス先発陣にはレスター、ベケット、ラッキー、バックホルツ、松坂の5人がそろう。加えてベテランのナックルボーラー、ウェークフィールドが、ケガや不調の投手が出た場合、すぐに取って代われるように控えている。MLB公式ホームページでも、ここ2年間ケガなどもあり計13勝に終わっている松坂を先発5番手と記しており、松坂も常々「(先発ローテーション落ちの)危機感はもっています」と話している。

 松坂はこの日、勇退を表明した欽ちゃんに対し、「じっくり日本の野球、メジャーリーグを見てもらって、元気づけられるように、そういう試合を多くお見せできたらと思います」とエールを送った。年明けにはハワイでの自主トレに旅立つ。下半身から徹底的に鍛えて、先発としてもう1度確固たる地位を築く。【千葉修宏】