アスレチックス松井秀喜外野手(36)が4日、恩師の力強い激励に新天地への意気込みを新たにした。母校の石川・星稜高を訪問し、野球部の山下智茂総監督(65)にあいさつ。その後の食事の席で「1日でも長くプレーしなさい。40歳を過ぎてやっている選手はいっぱいいる。魂を込めて1打席、1打席に立つんだ」と、熱く説かれた。

 食事をともにしたのはJR金沢駅前のホテルANAクラウンプラザ内の中華料理店。「特別メニュー」の8品コースで、とっておきのメニューが「虎鮫コラーゲンとアワビと豚足の煮込み」だった。川上清中国料理長によると「中国では具合の悪い部分を食べるといいという言い伝えがある」といい、膝に古傷を抱える松井のために出されたのが豚足だった。そんな思いを受け取った松井は、同席者が残した分の豚足も平らげたという。

 毎年恒例の「書籍プレゼント」からも熱い思いを受け取った。そのうちの1冊は、19世紀ドイツの哲学者が残した言葉を基にした「超訳

 ニーチェの言葉」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。「自分を常に切り開いていく姿勢を持つことが、この人生を最高に旅することになるのだ」などと、勝負のシーズンに臨む松井にも響く言葉が紹介されている。山下総監督は「いずれは指導者になってほしい。まだまだ先とは思っているけど、将来に備えて勉強するのはいいこと」と、ソフトバンク王球団会長や楽天名誉監督の野村氏に関連した本も贈った。

 1年ぶりの母校訪問に松井は「懐かしい気持ちと、ここからパワーをもらってまた1年頑張ろうという気持ちになる」とすがすがしい表情で語った。温かい地元の激励に背中を押され、新天地にかける思いはさらに強くなった。【大塚仁】