オリオールズ上原浩治投手(35)がひんしゅく覚悟で、トレードマークになりつつある“もみあげアピール作戦”に乗り出した。13日都内で、東海大仰星高の同級生で今季からレンジャーズに移籍した建山義紀投手(35)、大体大の後輩でインディアンスとマイナー契約をかわした村田透投手(25=前巨人)と合同自主トレを行った。上原は所属事務所が制作した、もみあげバッチリの似顔絵Tシャツを着用。「気持ち悪い」「顔が格好良すぎる」と酷評されながらも「これからもみあげのウエーブを起こす」と意気込んだ。

 ランニングとダッシュを終え、大量の汗をかいた後だった。グラウンドから室内練習場へ上着を脱ぎに行った上原が、子供のような笑みを浮かべ「これ見てよ」と登場した。黒地のTシャツの正面には、自らの似顔絵がプリント。わざわざもみあげが分かるように左斜めからの似顔絵で、顔の斜め下には英語でサイドバーンとインプット。周囲から「気持ち悪い」と酷評される中、1人で会心の笑顔を見せた。

 昨春、左太もも裏を痛め、リハビリ中の時から丸刈りヘアにチェンジ。自らバリカンで手入れをしていたためだが、そのころからもみあげを伸ばすようになった。「なんでと言われても、なんとなくしただけ」と素っ気なく説明するが、もともとは無精者。独身時代、カマキリに部屋のカーテンに卵を産み付けられ、ふ化したたくさんのカマキリの子供たちと同じ部屋で暮らしていたほどだ。「アメリカでは自己主張しないといけないから」という理由は、後からつけた理由のようだ。

 そんな上原が、本格的にもみあげに愛着を持ったのは、シーズン終盤にメジャー復帰し、ストッパーとして活躍するようになってから。「ファンが付けもみあげをして応援してくれた。すごくうれしかった」と振り返る。巨人時代は長髪、ひげは禁止だった。昨年12月に日本に帰国してからも、テレビ出演で一緒になった楽天の野村克也名誉監督から「なんやそのもみあげは!」と一喝されたが、本人の意志は固い。

 「ボロクソ言われたけど、野村さんは本当はおれのことが好きなんや」とどこ吹く風。アメリカで定着させ、関連グッズ作製の野望まである。「本当は球団がアピールしてくれればいいんやけど、アメリカでは自分でウエーブを起こさないといかん」。まじめにもみあげアピールを続けるつもりだ。

 似顔絵だけでなく、左袖には「雑草魂」ともプリント。なぜか日本語だが「雑草を英語にすると、マリフアナとか勘違いされる可能性があるから」という。「Tシャツが売れても、おれには一銭も入らん」と話すように、所属事務所への恩返しの意味もある。異例の猛アピールは、今季に向けた自信の裏返し。「もみあげ上原」は、日米で旋風を巻き起こしそうだ。【小島信行】