【フェニックス(米アリゾナ州)18日(日本時間19日)=広重竜太郎】緑ゴジラがキャンプ地に上陸した。アスレチックス松井秀喜外野手(36)がチームカラーの緑のセーターを着て、滞在先のニューヨークからフェニックスに入った。また父の昌雄さんは一足早く球場施設などを見学し、ゲレン監督に、息子が盗塁もできるほど好調なことをアピールした。人気薄の球団ながらオープン戦の前売りチケットは前年同時期より20%増と好調で、ゴジラ熱がいよいよ高まってきた。

 キャンプ地の空港に到着した松井は自分の服をまじまじと見つめた。ア軍のチームカラー、緑色のセーターを着てきたことを報道陣に聞かれ「そういえばそうですね。気にしたつもりはないけど」。意気込みの表れかと畳み掛けられ「偶然です。すみません」とかわしたが、口元は緩んだ。図らずも船出にふさわしい服装での登場だった。

 飛行機が遅れ、夜に到着した松井よりも一足先にチームを訪れたのは父の昌雄さんだった。球場施設を見学し“ゴジラパパ”として主力選手に次々とあいさつ。松井とともに中軸を担うデヘスス、日系3世のスズキ、昨季18勝でエースのケーヒルと言葉を交わした。

 最後はゲレン監督とガッチリと握手した。「監督には『今年は体調がいいので盗塁ができるかもしれない』と話しました」と、4年ぶりの盗塁も可能なことをアピール。しっかりと?

 息子を売り込んだ。

 ゴジラ一家の訪問と波長を合わせるように、オープン戦のチケットの売り上げも好調だ。昨季リーグ戦の観客動員数は30球団中29位という人気薄球団だが、今春のオープン戦は昨年の同時期の前売り状況より20%増。キャンプ地ではカブス、ドジャース、ジャイアンツが例年は満員状態で収容約7800人のア軍の球場は空席も目立っていたが、今年は異変が起きるかもしれない。ローズ広報部長は「理由の1つは松井の加入。2つ目はチームへの期待感。3つ目は地元が近いジャイアンツが昨季世界一になり、チケットが入手困難でウチに客が流れているかも」と分析した。

 松井は今日19日(日本時間20日)にCM撮影でユニホーム姿を初披露し、21日(同22日)のキャンプインに向けて調整を進める。「久しぶりにユニホームを着て野球ができるし、いいスタートが切れたらいい」。メジャー9年目へ、グリーンライト(青信号)がともる。