<アスレチックス5-4レンジャーズ>◇2日(日本時間3日)◇オークランドコロシアム

 【オークランド(米カリフォルニア州)=佐藤直子通信員】ゴジラが本拠地で目覚めた!

 アスレチックス松井秀喜外野手(36)が、今季初のサヨナラ本塁打を放った。レンジャーズ戦に「5番DH」で出場。4-4の延長10回、先頭で打席に入ると初球の内角速球を右翼席に運んだ。15試合ぶりで、今季本拠地初となる本塁打でチームを今季初のサヨナラ勝ちに導いた。日米通算500本塁打まであと4本とした。

 本拠地で、ついにゴジラが覚醒した。同点で迎えた延長10回。先頭で打席へ向かった松井は、レンジャーズの左腕オリバーが投げた初球を見逃さなかった。「彼(オリバー)とは何度も対戦しているんで、球筋は分かっていた。甘い球だけ狙っていましたね」。内角高めの速球を鋭くひと振りした瞬間、本塁打と分かる打球が右翼席に突き刺さった。

 狙い通りの1発は、本拠地初本塁打となり、今季初サヨナラ勝利をもたらした。はじけんばかりの笑顔で三塁を回ると、本塁上にできたチームメートの歓喜の輪にジャンプイン。「勝ってチームメートの喜ぶ顔を見るのはうれしいですけど、今日みたいなことはなかなかない。うれしい。それだけですね」。もみくちゃにされながら勝利をかみしめた。

 8回に追い付き、苦しい展開ながら、なんとか延長へもつれ込んだ。10回の直前の守りでは2死満塁を切り抜けるなど攻守ともに耐え抜き、全員でつかんだ勝利だが、主役はやっぱり松井。先発マッカーシーは会見場で松井の姿を見つけると「ヒデキのお出ましだ」と笑顔で席を譲った。衝撃の瞬間を誰よりも喜んだのはゲレン監督。興奮冷めやらず、「今季一番ドキドキしたよ。あの瞬間、ベンチで高く跳び上がりすぎて、天井に頭をぶつけるかと思った」と相好を崩した。

 19年目を迎えるプロ生活で身につけた気持ちの切り替えが効いた。第4打席まで、すべて内野ゴロ。本塁打の雰囲気のかけらも感じられなかった。だが、「いつも新しい気持ち、同じ気持ちで打席に立っている。前の結果は関係ない」と向かった最重要場面で、最高の集中力を発揮した。15試合ぶり、本拠地では13試合目での初アーチに「本来ならば、遅いんでしょうけど、最高の場面で出たこと、それがホームランだったってことは、非常にうれしいですね」と素直に喜んだ。

 この1発が、日本の被災者を勇気づけられれば、と思う。「そういう気持ちは常に持っている。少しでも元気を届けられたら、うれしい」。距離は離れていても、母国を思う気持ちが薄れることはない。

 今日3日から、4月をリーグトップの勝率で終えたインディアンスを迎える。目覚めたゴジラが、その勢いを止めるか。見応えのある激突となりそうだ。