<マリナーズ2-3レイズ>◇4日(日本時間5日)◇セーフコフィールド

 マリナーズ・イチロー外野手(37)の何かが狂い出している。4日レイズ戦で4打数無安打に終わり、4年ぶりの3試合連続無安打。安打なしは今季最悪の16打席(1四球を含む)へと伸びた。「お察しの通りだと思いますけどね」。メジャー11年目で最低の月間打率2割1分に終わった5月最終戦後に残した言葉だ。好不調、その日の打撃の感触について常々「発表することはない」と言うだけに、かすかながらも含みのある響きに苦しみが伝わってきた。

 最近7試合では、通算打率3割6分2厘のヤンキース・サバシア、3割8厘のオリオールズ・ガスリー、3割6分7厘のレイズ・シールズ、3割6分4厘のレイズ・ソナンスタインと相性の良い相手との対戦もあったが攻略はできなかった。技術的な葛藤を本人は明かさないが、迷いがあるように映る打席もある。3日レイズ戦の第3打席だった。2ストライクと追い込まれた3球目は内角膝元へ曲がるカーブ。好調時であればゴルフスイングのようにすくい上げ右翼へ長打にできる球だったが、ハーフスイングして平凡な投ゴロに終わっている。

 かたくなに守っていたルーティンも変えだした。全体練習のないデーゲームでも必ずフィールドに出てストレッチとキャッチボール、軽いランニングを行ってきた。しかし、最近4試合は外に出てきていない。見えないところで、試合前のスイング量を増やしているのではないかとみている。希代のヒットメーカーが試練の時を迎えている。(シアトル=木崎英夫通信員)