<オリオールズ4-0アスレチックス>◇7日(日本時間8日)◇オリオールパーク

 【ボルティモア(米メリーランド州)=広重竜太郎】アスレチックス松井秀喜外野手(36)が、瀬戸際に追い込まれた。オリオールズ戦で7番DHで3試合ぶりに先発出場。エンゼルス時代の昨年9月1日以来となる7番だったが、第1打席の好機で凡退するなど、3打数無安打に終わった。打順降格もカンフル剤にはならず、チームも8連敗で泥沼状態。いつ、去就問題が勃発してもおかしくない状況だ。

 打順が下がっても松井の苦悩は続いた。2回2死二塁。厳しい投球で攻められたが、最後の1球は真ん中寄りに入った92マイル(約148キロ)の直球だった。今の松井はこれを仕留められない。詰まらされ、力のない投ゴロに終わった。2、3打席目も三振、三ゴロと完全に打ち取られた。試合前練習ではスタンドインを連発し、予感を漂わせたが、試合の生きた球の前には別人のようだった。

 今季4~6番で先発したが、49試合目で7番に初めて下がった。昨年9月1日以来の打順だが「結果が出ていないから仕方ないと思いますし、打順については気にしていない」。ゲレン監督は2日前に打順変更について聞かれ「打順によって相手の攻め方は変わらない」と否定的だった。だがこの日は「より気楽に打てるだろう」と前言を翻して、苦肉の策に踏み切ったが、松井は結果で応えることができなかった。

 残されたチャンスは少ない。前日6日には松井よりも高額年俸選手で打率、本塁打で上回るクーズマノフがマイナー行きを通告された。地元メディアは「松井の戦力としての見極めは今月いっぱいだろう」と予測する。21日からはDH制のないナ・リーグとの交流戦6連戦で、先発から外れることは決定的。またマイナーではア軍の有望株選手上位に入るカーター外野手が故障明けから復帰した。今月中旬までに復調しなければ、戦力の構想から外れてしまう可能性もある。

 これからの試合も左腕なら先発から外される。ゲレン監督は先発左腕での起用から遠ざかっていることに「例外なく打てる選手から使う」と、松井の優先順位が低いことを再度明言した。松井は「練習では悪くないので、あとは試合でどれだけ結果に結び付けられるかですね」と言う。自ら道を切り開いて、ア軍でのポジションを取り戻すしかない。