<ドジャース1-0アストロズ>◇19日(日本時間20日)◇ドジャースタジアム

 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=四竈衛】ドジャース黒田博樹投手(36)が、またしても無援護に泣いた。アストロズ戦に先発し、7回3安打無失点と力投しながらも、0-0と両軍無得点のまま交代。ド軍は黒田の降板直後に決勝点を入れて連敗を脱出したものの、黒田に5月17日以来の白星は付かなかった。もっとも、他球団の黒田評は高く、7月末日のトレード期限まで「争奪戦」は必至の状況となってきた。

 自らの役割を全うした黒田は、7回裏の自軍の攻撃が「0」に終わった瞬間、ベンチから立ち上がった。リーグ3位のチーム打率を誇るア軍打線を7回無得点に封じながら、またしても白星とは無縁だった。「勝ちが付かないのは投手として気分的にもスッキリしませんが、0点に抑えて、試合を作れて、チームが勝ちましたから…」。降板直後の8回に勝ち越し、ド軍の連敗が5でストップしたことが、唯一の慰めだった。

 細心の注意を払い続けた110球だった。前回登板まで自己ワーストの5連敗。痛打された試合もあったが、無援護、拙守で落とす試合ばかりだった。「簡単に点をやれないし守りに入ってしまう部分もありました」。走者を出しても勝負を急がず、頻繁にけん制を入れ、打者との呼吸を外し慎重な投球で失投を防いだ。

 それでも、6試合連続で白星は付かなかった。その間、35回2/3を投げて、味方打線の援護はわずか5点。マッティングリー監督も「黒田はすばらしかった。(勝てたのは)彼のおかげだよ」と、ねぎらうしかなかった。

 その一方で、好投続きの黒田に対し、プレーオフ進出を争う上位球団の注目度は日増しに高まってきた。過去数試合は東地区首位レッドソックス、同2位ヤンキース、中地区2位タイガースのア・リーグ球団をはじめ、同じ西地区のジャイアンツ、ダイヤモンドバックスなども視察。7月末のトレード期限まで水面下での調査は本格化し始めた。1年契約ながら全球団に「トレード拒否権」があるうえに、ド軍への愛着も深いため、黒田の了承がない限り、移籍話は成立しない。

 ただ、この日でド軍は借金9の地区4位。オーナー夫妻の離婚問題で経営難が深刻化しており、低迷が続けば、年俸1176万ドル(約9億4000万円)の黒田放出に踏み切る可能性は十分にある。

 かつて「見てくれている人は見ている」と話したように、必要とされれば意気に感じるのが黒田の性分。「こういう投球を続けていれば、いつか(勝てる)その時が来ると思います」。現時点で争奪戦への参戦候補は7~8球団。白星と無縁でも、新たなチームとの縁が芽生える可能性を感じさせる力投だった。