<マリナーズ2-0フィリーズ>◇19日(日本時間20日)◇セーフコフィールド

 マリナーズ・イチロー外野手(37)が、08年ワールドシリーズMVP左腕、今季9勝のフィリーズ・ハメルズを攻略した。0-0の6回1死。カウント2ストライクと追い込まれた後、内角高めの速球を2球続けて見極めた。フルカウントから、昨季メジャートップの空振り率(47・7%)をマークした左腕の宝刀チェンジアップを右前に運び、出塁した。

 この絶好機に仕掛けた。2番ライアンが1ボール2ストライクと追い込まれた直後スタート。ライアンの遊ゴロで盗塁は記録されなかったが、その裏にはイチローなりの読みがあった。「変化球が来るのをイチローは分かっていた。実際遅いカーブが来た。仮に僕が空振りをしても二塁はセーフ。勝機はイチローが作った。僕じゃない」(ライアン)。直球と比べ、捕手の捕球がコンマ何秒か遅くなる変化球を投げると読んで得点圏に進み、3番スモークの左前打で均衡を破るホームを踏んだ。

 接戦を制し、プレーオフの常連との3連戦に勝ち越した。首位レンジャーズに再び0・5差。「大きいと思いますよ。こういう雰囲気の中で、なかなかなかったですから。オープニングデーだけでしたからね。いい経験だと思いますね」。重低音のサウンドが響き渡るロッカールームで発した言葉にはいつになく充実感がこもっていた。(シアトル=木崎英夫通信員)