自宅で首つり自殺をした伊良部秀輝氏(享年42)が引退後にハリウッド進出を計画していたことが31日、分かった。ロサンゼルス在住の映画関係者から共同製作を持ち掛けられており、併せて出演を打診されていたという。知人の1人は「脇役でもいいからと出演の話があり、本人も前向きでした」と企画を具体的に進めようとした矢先の悲劇に、言葉を失った。

 昨年1月に2度目の引退を発表した後は時間を持て余し、自宅に引きこもる日が多かったという。レンタルDVDを借りたり、好きな映画を見たりして1日をつぶした。野球関係者は「引退後は何もすることがなく、燃え尽き症候群のような状態だった。何をしたらいいのか、分からなかったのではないか」と約1年前の状況を振り返った。

 同氏の遺体は当局による検視も終わって葬儀社に引き渡されており、近日中にロサンゼルス市内で近親者だけで密葬を執り行う予定。家族の意向で米在住を続けていたが、本心は日本に帰りたくて仕方がなかったという伊良部氏。野球関係者は「孤独だったと思います」と残念がった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)