<ブルージェイズ7-3レンジャーズ>◇7月31日(日本時間8月1日)◇ロジャーズセンター

 サムライ投手たちが「プレーオフ進出の使者」となる。7月30日にオリオールズからレンジャーズにトレード移籍した上原浩治投手(36)が、敵地トロントでのブルージェイズ戦で新天地デビュー。5点差を追う7回に4番手で登板し、1回2奪三振の完璧な投球を見せた。東海大仰星高の同級生、建山義紀投手(35)も4回途中から2番手で登板し、1回1/3を無失点に封じ、“同窓リレー”が実現した。この日は上位チームに所属する日本人投手たちが快投を見せ、史上初めて日本人5投手全員が無失点に抑えた。

 ユニホームが変わっても、上原の仕事人ぶりは変わらなかった。青い帽子、真新しい背番号19でマウンドへ。テンポよくストライクを刻んでいった。最初の打者を4球で空振り三振、次打者を1球で三ゴロ。そして迎えたのは昨季ア・リーグ本塁打王、今季も31発でトップを走るバティスタ。外角直球2球でファウルを打たせて追い込む。最後は捕手の構えから寸分狂わない外角への90マイル(約144キロ)の直球。空振りの3球3振でキングを料理した。

 全8球で7球がストライク。約2分30秒で終わらせ、テレビの実況も「何て速いイニングなんだ!」と、うなった。本来のセットアッパーではなく、テストの意味合いが強い、追う展開での登板。だが、14試合連続無失点で一発回答した。

 上原

 昨日は何かつっかえるものがあって、ほとんど寝ていない。投げた後、ベンチでみんなとハイタッチした時、周りの顔が違うのでオリオールズではないと思った。

 7月30日のヤンキースとのダブルヘッダーの合間にトレードを告げられ、仲間と涙で別れた。この日は午前6時すぎのニューヨーク発の便で慌ただしくレ軍に合流。ロッカー室で高校の同級生、建山と再会し、ハグを交わした。さまざまな感情が去来した。

 同窓の建山は投球で歓迎ぶりを表現した。上原に先だって4回2死二塁から登板。バティスタを三ゴロに打ち取って切り抜け、1回1/3を無安打で6試合連続無失点。高校時代は上原を抑えてエースだった男は「まさかチームメートになるとは思わなかった。不思議な感じ」と18年ぶりの同僚復活に感慨深げだ。

 レ軍はこの日、パドレスから防御率1・13の救援右腕アダムスもトレードで獲得。ワシントン監督は7、8回を上原かアダムスに任せる意向だ。「(ア西)地区首位だから、それを持続できるようにチームに貢献したい」。最下位が常連のオリオールズから職場環境が一変した上原が、優勝争いのために右腕を振るうことを誓った。