松井秀喜外野手(37)の浮沈の11年が終わった。子供のころに憧れたアスレチックスに移籍して臨んだ1年。前半戦は打率2割9厘、だが後半戦は3番打者として機能した。それでもシーズンを通して残した成績はレギュラーとしてはメジャー最低だった。松井は限界なのか-。周囲から湧き起こる限界論に対して、松井がその胸中を語った。

 松井は最終戦後、この1年を「成績という意味では恥ずかしい」と断じた。2割5分1厘、12本塁打、72打点。全盛期からすれば、結末が近いことを誰もが感じる。松井も終盤に「どこからも必要とされなければ引退するしかない」と発言した。

 松井

 今年は引退を現実的に考えたことはなかったよ。やっている時にそういうことは考えたりしない。契約があるうちは、やることをやって、終わってから考える。あの発言も一般論。僕だけじゃなくて、誰でもそうでしょう。全盛期にやめるとか、オファーが来なくなったらやめるとか、引退のこだわりもない。自分の気持ちと周りの状況で判断するだけだよ。

 だが37歳として戦った1年に力の衰えは感じなかったか-。

 松井

 ここが特別というのは別にない。でもあってもおかしくないと思う。自分の感じないところでね。例えば昔に比べたら、疲れやすくなったかなとか。でも、そんなに明確に変わったとは思わない。打球が失速するようになったとかもないよ。スタンドに行ったと思うのはだいたい行く。行ったと思う打球がなかなか少ないだけでね(笑い)。

 近年悩まされ続けた両膝はケアのかいもあり、快調だった。だが膝をかばう打ち方が体に染み付き、回復した状態での打撃バランスが整わなかったという見方もある。

 松井

 可能性としては否定できない。あるかもしれないね。膝がよくなって、何かズレが生じたというのは自分では測れないこと。でも違和感はなかったよ。

 心はなえていない。前半戦にレギュラー落ちを経験した時、怒りの矛先はゲレン前監督ではなく自分自身にだった。

 松井

 結果が出ていないからこそ招いたこと。仕方ない。試合に出ていないからとは考えないし、それは言い訳になる。だからそういうときも、出たときにいかに結果を出すか、それしか考えていなかった。どの監督でもちゃんとプレーしなきゃいけないのは当然。選手の立場として、この監督はいい、よくないとか言うべきじゃない。うまくいかないときは自分にいら立つだけだ。

 まだやれる-。それを証明できるのは大リーグ10年目、プロ20年目を迎える来季のプレーだけだ。

 松井

 アスレチックスはいいチームだった。若くて、いい選手もそろっているし、歴史がある。でも来年のことはこれから考えるよ。毎年、勝ちたいし、いいプレーがしたい。それ以外に望むことはないんだ。(取材・構成=広重竜太郎)