海外FA権を行使した楽天岩隈久志投手(30)が、移籍を目指すメジャーでの最大目標として「ロベルト・クレメンテ賞」受賞を掲げていることが5日、分かった。近い関係者に「サイ・ヤング賞は投手としてもちろん目標だが、自分にとっては、クレメンテ賞が同じくらい大きな目標」と明かしている。

 いよいよウインターミーティングが始まり、FA市場が大きく動く。「わくわくしています。代理人の方からは『じっくり待て』と言われてます。早く決めて準備したいが、もう少し」。全30球団OK。オープンに構えている。が、譲れない面はある。社会貢献活動を従来通り行う。ここを大きな判断基準とする旨は、代理人に伝えている。

 1勝ごとに貯金するなど目安を定め、コツコツと還元してきた。学校、図書館、水道タンクなど。「岩隈基金」は世界中で形になった。本場ではMVPと同等の価値があるとされるクレメンテ賞に着目するのは岩隈ならではだった。

 継続マークを続けてきたのはマリナーズ、ナショナルズ、ツインズ、アスレチックス。そしてクレメンテが在籍したパイレーツだ。心優しき右腕が腕を振るう場所がもうすぐ決まる。【宮下敬至】

 ◆ロベルト・クレメンテ賞

 71年創設当時の名称は「コミッショナー賞」。翌72年にロベルト・クレメンテ外野手(パイレーツ)が故郷プエルトリコからニカラグア地震の被災地へ救援物資を運搬する際、飛行機事故で亡くなり、73年から同外野手の功績に敬意を表して名称変更された。野球はもちろん、慈善事業などの社会貢献で目覚ましい働きをした選手に贈られてきた。各球団から予備選考でノミネートされた30人の中から、選考委員会が1人を選出。今季はレッドソックスの指名打者デービッド・オルティス(36)が受賞した。