【フェニックス(米アリゾナ州)12日(日本時間13日)=四竈衛】ブルワーズからFAとなっていた斎藤隆投手(41)がダイヤモンドバックスと1年契約で合意した。メジャーの救援部門でトップクラスの人気を集め、8球団からオファーを受けていた。今季プレーオフに進出し、救援陣強化を図るダ軍の積極的なアプローチは、斎藤が望んだ「優勝争いができる」という条件とも一致。今季とほぼ現状維持の推定年俸180万ドル(約1億3500万円)の1年契約で合意した。

 ヤンキース、エンゼルス、ドジャースをはじめ多数の球団から人気を集めていた斎藤が、最終的に選んだのはDバックスだった。8日までのウインターミーティングで、ほぼ全球団の条件が出そろい、前週末に絞り込みを終了。通訳の契約など細部の条件や身体検査を残しているものの、この日午前までに年俸はほぼ現状維持、出来高払いなしの単年契約で合意に達した。

 斎藤が最優先してきた選択基準は金銭ではなく、「優勝争いのできるチーム」だった。実際、過去6年間は日本人最多となる5回のプレーオフ出場。常に緊張感のある舞台で、勝ち試合の終盤を任される役割が、斎藤の心身を支えてきた。

 来年2月、42歳になる斎藤にとって、アリゾナの温暖な気候も重要だった。昨季は左太もも裏痛、脇腹痛で戦列離脱するなど、相次ぐ故障に悩まされた。いずれも寒さが影響する箇所でもあり、よりよいコンディションを維持するうえでも、Dバックスは魅力的なチームだった。今春、ブルワーズのキャンプでもある同地を訪れた斎藤の家族が、環境面で気に入ったことも、プラス材料だった。

 一方、01年に初の世界一に輝いたダ軍は、その後、下位を低迷した。しかし、かつてパドレスをWシリーズに導いたケビン・タワーズ氏が昨オフGMに就任。今季は下馬評を覆し、終盤の驚異的な巻き返しでプレーオフに進出した。「日本人投手の資質の高さは疑う余地はない」という同GMのほか、今回はかつてドジャースに所属したデレク・ホール社長が、斎藤獲得を後押し。若い救援陣を束ねる人材として、大ベテラン斎藤に攻勢をかけた。

 来季は、日米通算プロ21年目。日本人最年長メジャー斎藤が、新天地でまた新たなスタートを切る。