ポスティングシステム(入札制度)で大リーグ挑戦するヤクルト青木宣親外野手(29)の最高入札額は、西武中島裕之内野手(29)と同じ250万ドル(約1億8800万円)だった。入札期限が締め切られた17日、ヤクルト衣笠剛球団社長兼オーナー代行(62)が都内の球団事務所で会見し、明らかにした。入札締め切り日に球団側が金額を公表するのは00年イチロー(当時オリックス)、03年大塚(同中日)以来3度目。最高入札額が伝えられてから、わずか1時間で受諾返信する速攻で大リーグ移籍の手続きに入った。

 異例の“スピード決着”だった。午前7時33分、最高入札額が入ったメールを受信すると、衣笠社長が堀オーナーらと連絡を取り合い、同8時33分に受諾の意思を返信。NPBを通じて、MLBに通達した。わずか1時間で決断し、公表。青木のポスティング申請を認めた時点から、入札額の下限は設けない考えを示していた。

 東京・新橋の球団事務所に休日出勤した衣笠社長は、会見の冒頭で入札があった事実に続き、「250万ドル。西武中島選手と同額です」と金額を明らかにした。球団側が、入札締め切り日に金額を公表するのは8年ぶり。可能であれば、球団名も公表する準備を進めたが、連絡がなく断念した。同社長は「球団の考えははっきりしているので、いたずらに長引かせる必要はない。青木君も早くビザを取得して、早く向こうに渡って開幕に備えたいだろうし。1日も早く受諾することで手続きも早く進むでしょうから、即答した」と説明した。

 入札額については「(金額がイコール)彼の評価ということではないだろうと思います」と話した。近年日本人野手の活躍は少なく、全体的な評価は落ちている。大リーグへ移籍することではなく、活躍することが目標と公言する青木に、結果を出して評価を上げることを期待した。

 球団側のスピード受諾により、「大リーガー青木」誕生は近づいた。大学時代から抱いた夢がかなうまで、あとわずか。青木は「待つ身だったので、ホッとしました。自分の夢にまた1歩近づいたと実感できました。今後のことは代理人に任せて、自分は練習に集中して、しっかりと準備をしておきたい」と球団広報を通じてコメントした。NPBを通じてMLBに伝わった後、落札した球団に30日間の独占交渉権が与えられる。【前田祐輔】